研究課題
医薬活性小分子の生体内標的タンパク質の特定のための新規方法論の開発を主要研究課題とした。本年度は、(1)PEGSを小分子の固定化樹脂とすることにより、非特異的な結合を排除したアフィニティクロマトクラフィー法を開発し、培養細胞からSLF結合タンパク質FKBP12を、(2)ファージディスプレイ法とQCM法を組み合わせたQCM-PD法を考案することにより、極めて短時間にFKBP12遺伝子を選抜することに成功した。(1)タンパク質のアフィニティ精製に適した有機合成用樹脂を探索するため、SLFを樹脂に固定化させてFKBP12との結合実験を行った。SLF (Synthetic Ligand of FKBP)は、免疫抑制剤のFK506結合タンパク質FKBPと強く相互作用するよう分子設計された化合物である。SLF-固定化樹脂とFKBP12との結合実験では、FKBP12はSLF固定化PEGA樹脂にのみしっかりと吸着することが示された。4mgのSLF固定化PEGAを用い、ヒト白血病Tリンパ腫由来の細胞抽出液からFKBP12を濃縮できることも示された。(2)SLFプローブを固体表面に種々の分子を高密度・高配向に集積させ、自己組織単分子膜を形成した。比較のためビオチン化SLFを合成し、アビジン固定化金薄膜に固定したものを用意した。終濃度10^7のファージライブラリーを注入したところ、SLF-Biotinからは約20Hz、SLF-SAMからは約90Hzの振動数の減少が検出された。PCRで得られたcDNAペプチド配列に翻訳した結果、SLF-SAMでは、無作為に抽出した48個のファージのうちFKBPを提示しているファージが38%に検出された。一方SLF-Biotinでは、FKBPを提示しているファージは検出されなかった。1 roundわずか10分間の相互作用で検出されたことから、迅速かつ高精度なスクリーニングを達成したと言える。その大きな理由としては、金電極上のSLF-SAMの固定化効率がSLF-Biotinに比べ大幅に上昇したためと考えられる。
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