研究課題/領域番号 |
16310156
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
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研究分担者 |
國松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80243111)
渡邊 邦夫 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60158623)
室山 泰之 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (70314242)
濱田 穣 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (40172978)
毛利 俊雄 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (30115951)
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キーワード | タイワンザル / ニホンザル / 交雑 / 和歌山県 / 生息状況 / 生物学的特性 / 年間増加率 / 交配様式 |
研究概要 |
今年度は実験室での計測や分析と、野外での観察調査を平行させる形で研究を進めた。和歌山県が大池遊園地域で捕獲しているタイワンザルとニホンザルの交雑群から形態、遺伝、繁殖生理、獣医病理の研究に必要な標本や試料を採集して分析を進めた。また、2004年9月末に交雑群の生息状況を把握するため現地調査を実施した。 交雑個体の生物学的特性についていくつかの知見が得られた。形態では、種差が顕著な尾長について交雑個体では尾椎数が8から24まで変化してさまざまな尾長の個体を生じていること、病理ではヘルニアなど軽微な病変はあるものの全般的に健康状態は良好であること、遺伝では群れメンバーの85%が交雑個体で、遺伝子頻度の推定結果から群れのほぼ半分がニホンザルの遺伝子に置き換わっていること、などが明らかになった。 野外調査では、区画法と発信機装着個体の追跡による行動域観察により、4群の生息を確認した。また、全体の個体数は50から80と推定された。2年前の生息状況とくらべると、交雑群の分布地域は全体として大きく変化してはいないが、分裂により個々の群れの行動域には変化が認められた。捕獲個体や生息個体の数をもとに人口学的分析をおこなった結果では、交雑群の年間増加率が14%という高い値に達していることが明らかになった。和歌山県のタイワンザル交雑群では雑種崩壊の兆候はまったく認めらない。交配様式を検討した遺伝子分析でも両種が群内で非選択的に交配しているという可能性を支持する結果が得られている。
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