研究課題/領域番号 |
16310157
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
杉浦 直人 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50304986)
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研究分担者 |
幸田 泰則 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20002355)
高橋 英樹 北海道大学, 総合博物館, 教授 (70142700)
河原 孝行 森林総合研究所, 北海道支所, 森林育成研究グループ長 (70353654)
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キーワード | レブンアツモリソウ / 共生菌 / Tulashella / 花色 / 地理分布パターレ / マルハナバチ / 保全 |
研究概要 |
1.レブンアッモリソウの花部器官の計測をおこない、アツモリソウの再分類に寄与するような華礎知見を得た。色彩色差計を用いた花色の定量化をとおして分類群としてのレブンアツモリソウの位置づけに関する有益な知見を得た。多数の標本調査から、国内におけるアッモリソウ属6種の地理分布パターンを解明し、礼文島におけるアツモリソウの分布は北海道の他集団とやや隔離しており、サハリン集団との連続性を考慮すべき事が示唆された。2.レブンアツモリソウの根やプロトコームから共生発芽誘導能を有する多くの共生菌を単離し、菌糸融合性、隔壁微細構造、生長特性及びITS-5.8S rDNA領域の塩基配列によって、これらの菌の分類を試みた。共生菌は、形態的分類に従うとEpulorhizaに属していた。不完全世代がEpulorhizaである場合、その完全世代はTulasnellaであるとされている。しかし共生菌の生育特性や塩基配列に基づいて作成した系統樹上での分岐群は、既知のTulasnellaceとは大きく異なっており、新種であると患われた。3.新たに発見されたカラフトアツモリソウおよび雑種個体と思われる各2個体の遺伝子を鑑定した結果、それぞれカラフトアツモリソウ及び雑種であることが確認できた。遺伝子鑑定によって非開花状態から個体の動態を把握することで、自然交雑の制御が可能になり、遺伝子拡散の制限が可能である。新たに確認したカラフトアツモリソウは既知のカラフトアツモリソウと同じハプロタイプを持っており、同じ由来のものと考えられた。4.これまでに経験したことのないニセハイイロマルハナバチを含むマルハナバチ属4種の大発生を確認し、そのおかげでニセハイ以外の2種もレプンアッモリの花粉媒介者であることを見出した。また、年ごとのニセハイ発生量とレブンアツモリソウ結果率の8年分のデータから、両者の間に有意な正の相関が認められること明らかした。さらに、ニセハイがヒロバクサフジなどヨメ科植物の花粉と花蜜に強く依在する種であることを再確認した。
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