研究課題
今年度は夏期休暇中にガイアナで調査研究を実施し、特に中国系の最近の動向を、クレオール化した旧移民と90年代以降顕著になった中国からの新移民の双方について、また両者の関係についても、インタビュー等を通して一次資料の収集に努めた。中国系に関する文字資料は現地でも限られているが、図書館、古文書館での収集、自家出版は直接著者たちとのインタビューも交えて獲得に努めた。新移民に関する文字資料はさらに少なく、生活基盤(多くはレストラン等)への訪問、観察、インタビューを中心にした。旧移民コミュニティの発展に貢献したキリスト教会についても調査し、中国人が少なからず埋葬されているとわかった墓地を訪問し、墓碑などの調査もした。首都の「中国人教会」の礼拝へも参加し、現状を理解した。地方の中国人渡来記念碑も確認した。現在ほとんど機能を果たしていない中華会館内部の調査、進行中の新規の企画などを含め、中華協会会長ほか旧移民の中心的リーダー以外にも、ジェンダー、階級、職業、インターマリッジなどの差異に留意したインタビューで多くの知見を得た。インターマリッジは90年代にガイアナの二大民族(人種)アフリカ系とインド系のインテンシブな調査研究をしたが、中国系もインターマリッジが進行している。特にインド系とのインターマリッジは増大している。問題化される異宗教間結婚は、両者が強い宗教性をもつ場合は、まだその調整などに複雑なプロセスが必要である。顕著な現象である国外移住への傾向は依然強く、旧世代中国系の大多数が国外移住し、新移民の多くもガイアナを次の移住へのステップとしか見ない傾向もある。豊かな北への移住者とは密なコミュニケーションをとり、人、もの、金の動きを伴う。2005年3月、国際宗教学宗教史会議第19回世界大会でジャマイカの中国系について(2006年Brill社より出版予定の論集に掲載)、6月、日本ラテンアメリカ学会でカリブ海アジア系マイノリティとクレオール化について、2006年1月、ジャマイカの西インド大学主催の国際学術会議でジャマイカの中国系について(2006年度中に現地の権威ある学術雑誌に掲載予定)発表した。
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Social and Economic Studies (Sir Arthur Lewis Institute of Social and Economic Research, University of the West Indies, Mona, Jamaica) 未定