研究課題/領域番号 |
16310169
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
松川 誠一 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20296239)
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研究分担者 |
矢澤 澄子 東京女子大学, 文理学部, 教授 (00106296)
久場 嬉子 龍谷大学, 経済学部, 教授 (50014808)
清水 洋行 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50282786)
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キーワード | ケアワーク / 介護労働 / ジェンダー / 商品化 / 感情労働 / グループホーム / ストレス / 市場化 |
研究概要 |
日本においては、社会福祉基礎構造改革によって準市場Quasi-Marketの枠組みが導入され始め、特に介護保険制度が施行された高齢者ケアの領域では、ケアの商品化が大規模に起こっている。本研究では、これからの地域福祉の中核的施設ともみなされているグループホームに勤務するケアワーカーに対して、全国規模での郵送調査(無作為に抽出された640事業所が対象)を行ない、グループホーム職員の精神的ストレス、感情労働、組織コミットメント、キャリア・コミットメント、職務満足、性別役割分業意識、経営者に対する主観的評価などを測定した(回収率は26.8%)。これらの項目を規模や法人種別といった事業所の属性と合わせて分析することにより、ケア・サービスの商品化と組織化とがケアワーカーの心理状態にどのような影響を及ぼしているのか観察した。 介護保険制度においては、サービス供給事業者に対する規制が緩やかで、ケア供給者の多元性が実現している。調査では、社会福祉法人23%、医療法人22%、NPO法人8%、株式会社20%、有限会社24%などという分布を示した。 精神的ストレスの代理変数としてのバーンアウト尺度、職務満足、組織コミットメント、キャリア・コミットメントについて、各尺度の得点の平均値を法人種別に一元配置分散分析を行なったところ、ほとんどの尺度において有意差が確認された。多重比較の結果からは、NPO法人のパフォーマンスの良さと医療法人のパフォーマンスの悪さが見出され、非営利組織対営利組織という単純な構造ではないことが確認された。 また、職員が行なっている感情労働の寡多は、福祉職関連資格の保有状況とは関連が見出されず、感情作業に関するスキルは福祉専門職の専門性の構成要件としては認知されていないことが示唆された。
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