研究概要 |
仏教混清梵語聖典『マハーヴァスツ・アヴァダーナ』は,最も重要な仏陀の伝記の一つである,使用言語は,仏教混清梵語のうち最も古い層に属し,古典サンスクリット語の知識のみで理解することは不可能であり,未解決の多くの言語学・文法上の問題を含んでいる.翻訳についても同様のことがいえる.コンピュータ上にテキストを作成し,網羅的な正順語彙索引を作成することは,仏教混清梵語の語彙研究の基礎となり,逆順の索引は文法を解明する上で不可欠となり,また仏教混清梵語で書かれた膨大な大乗経典の語彙と文法の解明を飛躍的に発展させることになる.第2巻の索引を2006年に中央学術研究所より出版した.その後最終第3巻の索引作成に取りかかっており,近々出版する予定である. これまで我々の開発した中期インド・アリアン文献の解析ツールをジャバで書き換え,そのアルゴリズムや使用方法を英文と和文の両方でまとめて,同じく中央学術研究所より出版した(2006年).この解析ツールはジャバで書かれていることもあり,ウインドウズPC,マッキントッシュPC及びリナックスPC上で動作し,非常にその有用性がアップした. 原点テキストの不備等により延び延びになっていたパーリ語文献『マッジマ・ニカーヤ』の語彙索引を,パーリ文献協会(オックスフォード)より2006年に出版した.この結果は,中期インド・アリアン文献研究にとって非常に有用な基礎的資料である. これまでの韻律解析ツールと全く異なる新手法,判別分析とニューラルネットワークを併用することにより,韻律解析の識別率を大幅にアップできた.従来解析不可能な韻律に対して,その解析を援用できる情報を提供する.標準語のサンスクリットから著しく異なる韻律を抽出する新手法を提供する。これは論文として,人文科学とコンピュータ研究会にて公表した.その他関連論文を,関連分野の学会誌等にて発表している.
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