研究課題/領域番号 |
16320011
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
中村 生雄 学習院大学, 文学部, 教授 (50217832)
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研究分担者 |
岡部 隆志 共立女子短期大学, 文科, 教授 (50279733)
田口 洋美 東北芸術工科大学, 芸術学部, 教授 (70405950)
原田 信男 国士舘大業, 21世紀アジア学部, 教授 (20208680)
松井 章 独立行政法人奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター室, 室長 (20157225)
三浦 佑之 千葉大学, 文学部, 教授 (90104091)
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キーワード | 自然 / 環境 / 狩猟 / 農耕 / 焼畑 / 動物供犠 / 縄文 / 東アジア |
研究概要 |
本研究の課題は、東アジア各地の狩猟民俗や動物供犠の調査を日本での並行的な事例と対比し、人と自然の対抗/親和の諸関係を宗教民俗学的に、さらには比較文化論的に考察することである。そのため初年度は、北海道の擦文・オホーツク・アイヌ各文化における自然利用の資料収集、飛騨地方の熊猟の事例研究、沖縄における伝統的な動物供犠儀礼の実地調査を中心に予備的な共同研究を行なった。 その成果を踏まえて、今年度はそれら列島内の多様な人と自然の関係を東アジア文明圏におけるそれと比較検討するための手がかりとして、台湾原住民と中国の少数民族における狩猟民俗と動物供犠儀礼の実地調査を軸に研究を展開させた。 (1)台湾・台東市近郊のプユマ(卑南)族の集落において12月下旬に行なわれたハラアバカイ行事(邪気を払う行事)と猿刺し祭の実地調査。これはプユマ族に特徴的な厳格な年齢階梯制をベースにした成年儀礼で、山中での儀礼的な狩猟や集落内の厄払いと喪明けの祭りなど、多様な要素を含んだ年末・新年祭であり、狩猟・焼畑を主生業としてきた台湾原住民の伝統的な自然観とその現代的な継承が観察された。また、現在それらの伝統的な儀礼の意義が原住民の定住起源伝承と関連づけて説明されている点も注目された。 (2)中国雲南省弥勒県イ族の集落において3月初めに行なわれた火祭の実地調査。これは集落近傍の聖山の神樹を祀る儀礼で、集落の青年がイケニエの豚を責めたてて山に運び、屠殺解体して神樹にそなえたあとその肉を共食するものだが、裸体の青年たちのボディペインティングによる異装と集落あげてのカーニバル的な宴に特徴がある。また、集落の祭司が鶏を屠殺解体し、その首や足を縄に結び付けて結界とする儀礼があり、沖縄・奄美のシマクサラシ・カネサル儀礼との連続性が注目された。
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