研究課題/領域番号 |
16320014
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
三島 憲一 東京経済大学, 経済学部, 教授 (70009554)
|
研究分担者 |
木前 利秋 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40225016)
ウォルフガング シュヴェントカー 大阪大学, 人間科学研究科, 助教授 (30379226)
|
キーワード | 近代化 / 本質主義 / 構築主義 / 文明論 / ハイブリッド |
研究概要 |
さまざまな近代化論を再検討し、特に文明論的視座に立った個別研究(Arnason, Eisenstadtなど)を分析し、文明論的アプローチが意図せずして文化本質主義に陥りやすいことを確認した。それを避けるための構築主義も本質主義に逆転しやすいことをポストコロニアリズムが援用するディスクルス理論に即して明らかにした。それゆえ本質主義と構築主義の不毛な対立の回避をめざすために、各地域で多くは文化防衛論やパロキアル擁護論のかたちで現れる潜在的近代化論の分析が必要との観点から、ラテンアメリカ、日本、ヨーロッパ中央部での伝統概念の意味の相違を確認した(本質の構築の諸相の問題でもある)。さらにその一環として東アジアの近代論の共通性と相違を示す資料を収集・分析した。11月には、この問題に関して、来日中のハーバーマス氏を囲んで中国・韓国の研究者を招待し「近代の規範的核とその文化的多様性」というテーマでワークショップを行った。また、特に過去20年の日本における主要雑誌に紹介された中国・韓国知識人の論、また最近の中国における国際学会での近代化論に関する発表の分析から、一方の、経済的近代化を近代化の雛形と見る議論と、他方の、文化的な「雑種」もしくは「混合」にこそ、つまりハイブリッド性にこそ自分たちの近代化の特性を見る議論が特徴として確認された。こうした新タイプの近代化論とヨーロッパ出自のさまざまな近代化論との関連をどう見るかを現在検討しているところである。この点では12月に、大阪ドイツ文化センターと協力してドイツ、イギリス、韓国の研究者を招き「国家公民からコスモポリタンへ」というワークショップを行った。また特に東アジア地域における近代化の相互干渉を、コロニアル・モダニティの名称でとりあえずとらえ、それと、ヨーロッパ内部の相互干渉との差異や共通性を重視しながら具体的に見ていく作業に現在取りかかっている。
|