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2006 年度 実績報告書

選択的近代化とその相互干渉をめぐる思想史と現在の理論

研究課題

研究課題/領域番号 16320014
研究機関東京経済大学

研究代表者

三島 憲一  東京経済大学, 経済学部, 教授 (70009554)

研究分担者 木前 利秋  大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (40225016)
ヴォルフガング シュヴェントカー  大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (30379226)
キーワード近代化論 / 軸文明 / 文化と権力 / 比較
研究概要

本年度は、ギデンズ、カストリアディス、アイゼンシュタット、アルナソンらの近代化論を、一方で日本近代化との関連で、他方では軸時代論との関連で取り扱った。近代化を国民国家、資本主義、民主主義の葛藤の側面で捉えるアルナソンらの理論は、そのつどの解決戦略が多様であり、しかも軸文明的な基盤の上で行われることを念頭においた優れたもので、なにゆえに近代化が多様な道をたどることになるかを明らかにしてくれた。これを元に日本近代化について、また西欧と非西欧の近代化のディスクルスの相互干渉について具体例を挙げながら討究を行った。特に天皇制による社会統合を文化主義にもイデオロギー批判にも陥らずに説明する道が開けた。
また、アイゼンシュタットの軸時代論からは、軸文化内部の多様性と同時に、軸文化と近代化との関連について多くの知見が得られた。軸文化内部で、文化と権力の相互関連がさまざまな方策を取るゆえに、同じキリスト教文化圏でも近代化は多様となる。また、文化と権力の相互関連、特に文化の権力への変換を中心に近代化の多様な道を辿る上記の著者たちの方向が、ヨーロッパ内部の差異についてのみならず、日本近代化と社会主義社会の比較など重要な研究視角を提供することが明らかとなった。
西欧が非西欧地域に向けて発する近代化論と、非西欧地域で結ばれる近代のイメージの相互関連を、コロニアル・モダニティの名称の下に、芸術や文学、都市計画なども含めて捉える可能性も追求された。この問題は、特に最終年度である次年度の主たるテーマとなる。
また、韓国の釜山大学で行われた日本、中国、韓国の近代化をめぐるシンポジウムに研究代表者および研究分担者全員が参加し、この問題について発表を行い、相互に知見を交換したのは、今後の研究にとって有益であった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「変貌するカトリック教会とディスクルス倫理」(『ポスト世俗化社会における宗教』)2007

    • 著者名/発表者名
      三島憲一
    • 雑誌名

      図書 ポスト世俗化社会における宗教(岩波書店) (所収)

      ページ: 60-130

  • [雑誌論文] ギュンター・グラスの「涙」から見えるもの(上)2006

    • 著者名/発表者名
      三島憲一
    • 雑誌名

      論座(朝日新聞社) 06年11月

      ページ: 152-165

  • [雑誌論文] ギュンター・グラスの「涙」から見えるもの(下)2006

    • 著者名/発表者名
      三島憲一
    • 雑誌名

      論座(朝日新聞社) 06年12月

      ページ: 138-145

  • [雑誌論文] Neue Kunst und Massenkultur (Horkheimer)2006

    • 著者名/発表者名
      Kenichi Mishima
    • 雑誌名

      In : SchlOsseltexte der kritischen Theorie

      ページ: 233-237

  • [雑誌論文] グローバル化と歴史学-そのテーマ・方法・制約2006

    • 著者名/発表者名
      ヴォルフガング・シュヴェントカー
    • 雑誌名

      西洋史学 224

      ページ: 265-281

  • [雑誌論文] グローバル化時代の人種とシチズンシップ2006

    • 著者名/発表者名
      木前利秋
    • 雑誌名

      トランスナショナリティ研究(大阪大学21世紀COEプログラム報告書)

      ページ: 1-23

  • [図書] Megastadte im 20. Jahrhundert.2006

    • 著者名/発表者名
      Wolfgang Schwentker(hg.)
    • 総ページ数
      330
    • 出版者
      Gottingen : Vandenhoeck&Ruprecht 2006

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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