研究課題
基盤研究(B)
広くはヴェーバーの宗教社会学につながりながら、最近のハーバーマスらの仕事と対話を重ねる西欧系の近代化論者を中心に、「多様な近代」の考えが、また、西欧近代に寄与した植民地の文化を評価するポストコロニアリズムの議論の中から「交錯する」近代の議論が生まれている。グローバル化のなかで、西欧固有の合理性という考えは影を潜めている。また、「多様な」近代と「交錯する」近代の両者をエリアスにつらなる人々が比較文明論と媒介しようともしている。これによって近代化の選択性と恣意性が確認され、同時に個々の選択にあたって背景にある大文明が重要な役割を果たすことについても最近は広く合意が得られている。こうした理論的アプローチの背景にあるのは、今まで単線的かつ同質的に理解されていたヨーロッパ内部の近代化そのものが実は多様性を秘めていることが明らかになってきたと同時に、近代そのものが実は独自の一個の文明として、内部に多くの緊張と矛盾を抱えているという自覚の増大である。近代はどんな場合でも近代への懐疑や批判を、そこから新たな包摂と区別のラインへの試みを宿していた。そうした緊張や矛盾が、他文明においては拡大する西欧文明との出会いの中で、さまざまな変容を受け、同時に制度面での多様性をもたらしている。以上のような認識が得られたが、この認識はまた、本科研費によって開催されたさまざまな研究会や国際ワークショップにおいて個々の具体例によって確認された。
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東京経大学会誌 No.259
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Ostasiatische Diskurse im 20. and 21. Jahrhundert, Nomos Verlagsgesellschaft
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Ostasien, Gescihchte und Gesellschaft 27
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