研究課題/領域番号 |
16320017
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
佐藤 一郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30143639)
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研究分担者 |
木島 隆康 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10345340)
桐野 文良 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 助教授 (10334484)
大西 博 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (20345341)
田中 智恵子 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 非常勤講師 (20401507)
大竹 秀実 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 非常勤講師 (30401508)
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キーワード | 自画像 / 東京美術学校西洋画科 / 自然科学的光学調査 / デジタル写真撮影 / 油画 / 絵画材料 / 絵画技術 / 油画保存修復 |
研究概要 |
本年度(〜平成19年3月31日)の研究実績 本研究は、東京美術学校西洋画科黎明期の卒業制作・自画像作品約50点に焦点を絞り、調査研究するものである。本学美術館に収蔵されている自画像作品は、原則として卒業生全員に課せられた課題であり、その当時の日本の油画作品のトータルな水準を示すものである。現在、46点の自画像作品の調査研究を終了しており、今年度は「高木巌」「伊達五郎」「谷斉一」「坪田虎次郎」「深見和成」「山下新太郎」の計6点を調査研究した。これら明治37年卒業の東京美術学校西洋画科学生の描画方法には、思いのほかヴァリエーションの幅があり、明治前期(旧派、脂派)と明治後期(新派、紫派)油画作品の特徴とが入り乱れ、明治末期の青年の内面を照らし出しているといえよう。 具体的調査研究の方法は、自然科学的光学調査(正常光、側光線、赤外線、紫外線蛍光、X線)、クロスセクションの断層顕微鏡写真、元素同定などである。 また、本研究では、従来のアナログ写真はもちろんのこと、デジタル写真撮影にも取り組んだ。本年度は、とくにデジタル写真撮影方法の効率化を狙い、写真期の蛇腹の移動での分割撮影ではなく、作品の水平垂直方向へのミリ単位の移動を確立し、従来の蛇腹の移動を行わない撮影を行った。画像研究資料としての自画像作品のデジタル写真化であり、近い将来のアーカイブ社会の要求にも応えようとするものである。200000000画素の高精細データができるようになっており、このようなデジタル写真は、マクロデータとミクロデータが同存化しているといえよう。 なお、各年度の写真による研究資料と、作品ごとの文章による調査研究成果は、これまで4回に分けて、東京芸術大学美術学部紀要に発表し、今後も継続して行う予定である。
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