研究課題/領域番号 |
16320029
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
藤井 淑禎 立教大学, 文学部, 教授 (30132252)
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研究分担者 |
石川 巧 立教大学, 文学部, 教授 (60253176)
成田 康昭 立教大学, 社会学部, 教授 (80198390)
原 克 早稲田大学, 教育学部, 教授 (40156477)
前田 一男 立教大学, 文学部, 教授 (30192743)
宮川 健郎 明星大学, 人文学部, 教授 (80166123)
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キーワード | 大衆文化 / サブカルチャー / 都市 / 通俗文学 / ミステリー / 大東京 / 震災復興 / モダニズム |
研究概要 |
従来の固定化された乱歩評論・乱歩像の氾濫に対して、本研究では根本的な異義を唱え、いくつかの研究的な観点を設けて、この三年間共同で研究を続けてきた。その一つは、通俗ものと貶められてきた昭和初年代の長編小説群の再評価。二つ目は、乱歩の文学的生涯を鳥瞰した上で、そこにどのような軌跡を認められるかという問題。三つ目は、ジャーナリズムの中における、あるいは清張ら後続の作家との関連といった問題。さらに四つ目としては、全体として社会や外部世界と乱歩世界がどのような交渉なり関係を有しているかという問題。従来の乱歩評論がとかく思いつきの列挙になりがちであったのに対して、本研究では、厳密な研究的アプローチをめざしている。それによって、研究の蓄積と前進とが図られるからである。 以上は全体的なことだが、そうした方向性のもとに、原は科学と作品との関係を整形外科手術を手がかりとして追究し、渡辺はサブカルチャーという観点から男色の問題にアプローチし、成田は犯罪を扱う記事の変質を明らかにした上でそれが現実と小説とを架橋することを立証し、石川は戦前から戦後にかけての連続・非連続の問題をプロパビリティーの犯罪の表現を手がかりとして探り、宮川は語り手の突出現象を少年もの以前に探り、前田は公教育と児童文学の世界の連続・非連続に光を当て、藤井は昭和戦前期における家族の問題と戦後の清張ら社会派との葛藤にアプローチした。 また立教大学に乱歩蔵書・資料の公開と保存と研究を核として大衆文化研究センターが設立され、今年度で研究期間は終わるものの、センターとの密接な連携の下で、さらに本研究の方向性は維持・発展を続けていかなくてはならない。
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