研究課題/領域番号 |
16320035
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平石 貴樹 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10133323)
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研究分担者 |
高橋 和久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10108102)
大橋 洋一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20126014)
柴田 元幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90170901)
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キーワード | イギリス文学 / アメリカ文学 / 映画 / 比較文化 / 映像研究 / 文化戦略 / アダプテーション / 文化研究 |
研究概要 |
次年度にあたる今年度は、初年度の資料収集・解析・考察を基盤として、作業を継続するとともに、研究成果の発表の準備にとりかかった。また収集した資料の解析については、解析に関する理論的根拠を初年度より模索中であったが、今年度も理論化を継続することになった。文学作品の映画化とみるとき、原型と派生型との二分法による評価に左右されがちで、どうしても派生型としての映画の評価が低くなる。むしろ文学を原作とした映画でも、独自のジャンルとみなし比較系の価値評価行為から離脱させたほうが分析と考察によってよい成果を期待できるのではないかという点で意見の一致をみた。また映画化をアダプテーション問題として捉え直すことで、<原型→アダプテーション作品>との流れが通常想定されているが、原型(文学文化作品)そのものもアダプテーションであること、むしろ<アダプテーション→アダプテーション>としての流れを前提として、原型も実は原型ではなく社会的・文化的・歴史的交渉過程によって成立するアダプテーションであるとの視点の導入によって、従来の比較文化、比較文学、映画研究における諸前提を根底から覆し、新たな可能性を探ることができるという理論的改革を研究と討議の結果行なった。そのため初年度における整理法あるいは研究法を見直すと必要に迫られ、これまでの研究課程の点検に多くの時間を費やした。理論的考察と平行して、歴史的・文化的研究は順調にすすみ、アメリカ、イギリス、日本の三軸を中心として、個別特殊的な要素を確認することになった。方法論的見直しを慎重におこなったため、今年度はネット上でのサイトの立ち上げ、研究成果の公表、意見交換などは、次年度の課題とすることになった。
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