研究課題
研究代表者・斎藤は、社会的・政治的にもリソルジメント期に重要な役割を担ったイタリア演劇を包括的に捉えるべく、特に自由主義思想との関連をフォスコロの『アイアス』に、またロマン主義の影響をペッリコの『フランチェスカ・ダ・リミニ』において調査した。本来は異質なものであったはずの二つの思想傾向が、当時の政治状況のもとにおいてどのように絡み合い、観客の心にどのようにアピールするべく練り上げられていったのかをテキストの詳細な分析によって明らかにした。研究分担者のひとり長神は、前年度に行なったトンマゼーオのイタリア語辞典に関する調査をより詳細なものとするため、サンプルとして抽出する見出し語の数を増加させながら、語釈の内容および配列、用例の出典について分析を進める一方、トンマゼーオの辞書とは明白に異なる理念のもとに編纂されたGiorgini-BroglioのNovo vocabolario della lingua italiana secondo l'uso di Firenze (1870-97)にも調査対象を広げ、両者の比較を可能とするべくデータ・ベースの構築を開始した。これは、政治的な国家統一の後にも国民国家形成の要であり続けた国語問題について、文部大臣をも務めた辞書編纂者のひとりE.Broglioが、具体的にどのような方向性を持った解決を求めていたのかを検証するためである。国語問題に関して大きな影響力を行使したとされるマンゾーニについては、いま一人の研究分担者である天野が、『フェルモとルチーア』から『いいなづけ』への変化のプロセスを、特に大きな変更を被った「モンザの尼僧」の章について詳細に跡付け、その変化の意味を彼自身の歴史小説論との関連において捉えるべく、削除あるいは基本的な変更が行なわれた部分については両者の対照関係を正確に調査し、かつ対応関係の見られる部分については、言語表現に見られる両者間の差異を語彙および構文に関して詳細な比較検討を行なった。
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京都大学文学部紀要 45(印刷中)
Annali del Centro Studi e Ricerche dell'Universita di Tokyo in Firenze 2
ページ: 101
Lo spazio linguistico italiano e le"lingue esotiche": rapporti e reciproci influsssi. Atti del XXXIX Congresso internazionale di studi della Societa di linguistica italiana (Milano,22-24 settembre 2005) 単行本(印刷中)
京都大学文学部紀要 44
ページ: 1-39
大阪国際サイエンスクラブ会報 205
ページ: 1-9
Bollettino della Societa di linguistica italiana (SLI) XXIII
ページ: 22-24