研究課題
今年度は、両足院所蔵の書跡・典籍類のうち第28箱から第50箱までと番外の朝鮮通信史関係の文書の調査を実施し、およそ400タイトルの書跡・典籍類の調査を行い、書名・法量・装訂・外題・首題・尾題・版式・行数・訓点・奥書・刊記などの書誌学的事項を調査カードに記入した。これらの書跡・典籍類の中では、江戸時代の仏教書が大半を占めており、中国・明時代の版本の復刻なども多数収蔵されていることがわかった。今年度の調査の中で特に重要視されるのは、第33箱に納められている版本類であり、中国・朝鮮・日本という三国にわたる版本類が納められており、これらは両足院の蔵書の特徴の一端をよく表していると見られるものであった。その第33箱のうち、中国の版本としては中国・明時代の崇禎十七年(1644)の刊記がある『禅林宝訓』一冊の存在を確認し、詳細な書誌学的事項の調査を行い、書影の撮影も実施した。ついで朝鮮本としては、『緇門警訓二巻続集一巻』についての詳細な調査を行い、その結果、十六世紀なかば、江原道・表訓寺において刊行されたと見られることがわかったのは大きな成果であった。また五山版としては、嘉慶元年(1387)の刊記がある『冥枢会要』三冊を確認したが、詳しく調査した結果、江戸時代の後摺りと見られることもわかった。また朝鮮通信史関係では、対馬・以酊庵に関する文書を順次、調査し、両足院と以酊庵のつながりの深さが確認されるに至っている。今年度の調査では、興膳宏・京都国立博物館前館長、米谷均(朝鮮通信史研究者)、李際寧・中国国家図書館善本特部副研究員の三氏が研究協力者して参加した。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
頼富本宏博士還暦記念論文集 マンダラの諸相と文化 下・胎蔵界の巻
ページ: 339-352
敦煌学・日本学-石塚晴通教授退職紀念論文集
ページ: 52-64
学叢 27
ページ: 85-90