研究概要 |
本研究は言語表現内的文脈のみに言及する規則性(広い意味での文法規則)との相互関係」を明らかにし、これらを統合する言語理論の基礎付けをすることを目的とする。本年度は、カナダアルバータ大学で1度、京都で2度合計3度の研究打ち合わせとメーリングリストによる打ち合わせを行い、研究分担者、海外研究協力者の研究内容の確認と協力・分担作業の確定を行った。また、自然対話データのtranscriptionに関する情報交換を行い、海外研究協力者の大野、岩崎による学生の訓練も実施した。 本年度実施した研究のうちおもなものは次のとおりである。 1)「名詞+こと」が、individual sublimationの形式標示として機能することを明らかにした(田窪)。 2)日本語のモーダルの助動詞が表す推論の方向性に、deductiveな方向性とabductiveな方向性の2種類があることを明らかにした(田窪)。 3)近藤のいう方向性の視点と、敬意の視点は参照点を話し手に設定するか、被敬者にするかという違いとして捉えなおすべきであることを明らかにした(金水)。 4)日本語のガの格助詞から接続助詞への変化、主語内在関係節の存在、間接疑問詞節の注釈化、が相互に日本語の類型的な性質(proの存在、SOV語順)と相関することを明らかにした(金水)。 (1、3)は、2004年8月アルバータ大学で行われたSymposium on Functional Approaches to Japanese Grammar : Toward the Understanding of Human Languageで発表した。(1,4)は、2004年9月神戸で行われた、Second Oxford-Kobe Linguistics Seminar : International Symposium on the History and Structure of Japaneseで発表した。(2)は、2005年3月に香川大学で行われた日本言語処理学会の招待講演として発表した。
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