研究課題
平成16年度に実施した『日本語話し言葉コーパス』から変異現象研究用の各種データを派生させる作業を継続するとともに、派生させた研究用データを用いて変異現象の分析をすすめた。今年度の代表的成果としては、現代日本語の話し言葉における語形変異の全体像を把握するための研究が挙げられる。これは『日本語話し言葉コーパス』の短単位752万語全体を対象とした語形変異の調査であり、従来の各種国語辞典では(発音アクセント辞典の類を含めても)きわめて不十分にしか提供されてこなかった日本語の語形のゆれに関する調査として画期的な性格をもつものである。調査の結果は、1)自発的な講演ほど語形の変異率が高いが、変異率は朗読音声でもゼロとはならないこと、2)コーパスに含まれる語形変異の77%は変異率が高く同時に頻度も高い語彙20項目程度によってもたらされていること、3)多くの変異形が存在する語形であっても、頻度の高い変異形を上位から3語まで示せば変異の少なくとも90%以上、多くの場合に99%以上がカバーされることなどを確認した。さらに変異率の高い数十語について変異の言語的ないし社会的要因に関する個別的分析も実施した。この調査研究の成果は、平成17年夏に英国バーミンガム大学で開催されたコーパス言語学の国際学会(Corpus Linguistics Conference)にて口頭発表した。その他にも種々の変異現象を個別に分析した結果を各種学会で口頭発表しているが、紹介は省略する。
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日本音響学会誌 61(9)
ページ: 544-549
情報通信ジャーナル 24(3)
ページ: 28
国語語彙史の研究 24
ページ: 259-275