研究課題
本研究の目的は大規模な自発音声コーパスである『日本語話し言葉コーパス』を用いて、そこに記録されている大量かつ多様な言語変異減少を多角的かつ定量的に研究することであった。メンバーの役割分担は以下のとおりであった。前川 研究の総括、音声、語彙、韻律レベルの変異の分析小磯 助詞の擬音化の分析小椋 語種データの生成と分析菊池 韻律研究用XMLデータの生成と分析伝 母音の非語彙的延長の分析日比谷 ガ行鼻音データの分析研究の前半ではデータ整備作業を実施した。小椋は語種構成の変動を研究するために、『日本語話し言葉コーパス』に対して語種(和語、漢語、外来語など)情報を付与する作業を実施した。菊池は韻律現象(イントネーションなど)研究用に特化した新しいXML文書を設計し、生成した。前川は『日本語話し言葉コーパス』に記録されたすべての語彙を対象とした語形変化の全体像を把握するために、『日本語話し言葉コーパス』の全短単位データについて語形のゆれの有無とその特徴を記述したデータベースを生成した。後半では『日本語話し言葉コーパス』と新規に生成したデータを用いて実際に言語変異現象を解析した。従来の研究でとりあげられてきた言語変異現象の大部分は音声・音韻もしくは語形の変異であったが、本研究では、CSJの特徴を活かして韻律現象の変異もとりあげた。韻律現象のうち語彙アクセントは従来から研究対象となってきているが、イントネーションがとりあげられたことは稀である。またいわゆる非流暢性(disfluency)に属する現象、すなわち母音の非語彙的な引き伸ばしやフィラーの変異が研究されることは、少なくとも日本語においては従来稀であった。
すべて 2006
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音声研究 10.2
ページ: 33-42
国語語彙史の研究 24
ページ: 259-275