本研究は日本語を第二言語として学ぶ子どもたちへの日本語教育に関する教材、教授法、および教育行政システムの構築について研究したものである。 本研究では、川上が開発した「JSLバンドスケール」を使って、これらの子どもたちの日本語能力の把握と、その結果をもとにどのような教材を、どのような方法を使って日本語指導を行うかについて研究を行った。また、その成果を踏まえ、教育行政とどのように連携し、これらの子どもへの日本語教育を行うかについても研究を行った。その結果は、著書、『「移動する子どもたち」と日本語教育-日本語を母語としない子どもへのことばの教育を考える-』(川上郁雄編、2006・明石書店)として刊行した。また、教育行政との連携としては、2007年度、東京都目黒区教育委員会および三重県鈴鹿市教育委員会と早稲田大学日本語教育研究科の間で協定を結んだ。その内容は、「JSLバンドスケール」を使って、JSL児童生徒の日本語能力を把握することと、そのことをもとに日本語指導を進める専門的教員として「日本語教育コーディネーター」を配置することである。これらは、2008年度からスタートし、成果が期待されるところである。
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