研究課題
基盤研究(B)
多言語社会のもっとも生産的な定義は、現状認識としての「機能的多言語社会」である。すなわち、ひとつの国家なり地域なりに複数の言語が共存している場合、言語相互間に機能的な差別が存在するという定義である。本研究の目的は、多言語のこうした機能の相違を歴史的に検証し、「機能平等的多言語社会」の生成を展望することであり、さらに、多言語社会が比較的少数の安定的書記言語から構成されるものかどうかを究明することである。本年度は、研究の最終年度なので、研究代表者・分担者が昨年度実施した個別テーマの調査研究に基づいて、比較検討するなかで総合的な分析を行って、最終的な報告書を作成した。研究組織全体としては、6月に打ち合わせを兼ねた研究会を東京で開き、8月初旬に集中的に検討するための研究代表者・分担者による研究合宿を三重県鳥羽市で行った。また12月はじめに、公開の研究集会を一橋大学で開き、広く外部から意見を聞いて、総合的分析の参考にした。その上で、研究代表者・分担者がそれぞれの担当項目についての報告をまとめ、報告書を作成した機能平等的多言語社会論はEUを中心として西欧のとくにウェールズやカタルーニャなど少数言語地域において、ここ10年ほどのあいだに急速に進んだ。これとは対照的に、アフリカや南アジアでは、理論的あるいは法整備としては進展しているが、現実問題として少数派の言語的認知は進んでいるとはいえない。すなわち理論と現実のギャップがある。日本では、沖縄やアイヌ文化、また在日朝鮮韓国人、日系ブラジル人などについても、その言語文化の認知に関して多少の進展はあるものの、その法的整備はまだまた遅れをとっている。また全体的理論の世界的規模での比較検討は今後の課題として残っている。
すべて 2007 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (24件) 図書 (3件)
in : Coulmas, Florian (ed.), Language Regimes in Transformation. Berlin, Mouton de Gruyter
ページ: 191-205
平和コミュニティ研究 第2号
ページ: 35-41
植民地国家の国語と地理(植民地教育史研究会年報) 第8号
ページ: 29-37
ウラリカ 14
ページ: 45-56
International Journal of the Sociology of Language 175/176
ページ: 193-211
Celtic Forum No. 8
ページ: 15-20
ことばと社会 第9号
ページ: 5-11
ことばと社会別冊2、脱帝国と多言語化社会のゆくえ- No. 2
ページ: 102-120
熊本県立大学文学部紀要 第11巻通巻第64号
ページ: 17-43
地域研究 第7巻1号
ページ: 157-169
ドイツ語学研究 第11号
ページ: 5-67
立命館言語文化研究 16巻3号
ページ: 101-111
ことばと社会 別冊2 脱帝国と多言語化社会のゆくえ 第2号
ページ: 121-127
文化人類学 69(4)
ページ: 497-519
Celtic Forum (The Annual Reports of Japan Society for Celtic Studies) No. 8
In : Calvet, Louis-Jean ; Griolet, Pascal (eds.), Imperialismes linguistiques hier et aujourd'hui, Aix-en-Provence, Edisud
ページ: 349-361
in : Louis-Jean Calvet et Pascal Grioret (eds.), Imperialismes linguistiques hier et aujourd'hui Aix-en-Provence, Edisud
ページ: 97-117
Celtic Forum No. 7
ページ: 11-19
ことばと社会 第8号
ページ: 6-10
月刊言語 Vo1.33, No.5
ページ: 26-33
一橋論叢 131巻4号
ページ: 143-159
ページ: 40-46
Celtic Forum (The Annual Reports of Japan Society for Celtic Studies) No. 7
Nepal. Studies in Nepali History and Society 9(2)
ページ: 261-291