研究課題/領域番号 |
16320089
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐伯 弘次 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (70167419)
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研究分担者 |
坂上 康俊 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (30162275)
山口 輝臣 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 助教授 (20314974)
森平 雅彦 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 講師 (50345245)
六反田 豊 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (40220818)
桑野 栄治 久留米大学, 文学部, 助教授 (80243864)
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キーワード | 東アジア交流史 / 日朝関係 / 三島 / 海東諸国紀 / 日本人通交者 / 偽使 |
研究概要 |
1.研究打ち合わせを兼ねた全体の研究会を、7月・10月・2月の3回実施した。「14-16世紀の三島と朝鮮」、「『和名類聚抄』田積記事原資料の年代比定」、「牒と咨のあいだ-高麗王と元中書省の互通文書-」等の報告を得て、東アジアにおける古代日本の田積の位置づけ、元と高麗の国際関係における外交文書の形式とその特質、「三島」という地域から見た中世後期の日朝関係の諸段階と特質を検討し、議論を深めた。また、佐伯・桑野・伊藤の3名は、院生や他大学の研究者と「世宗実録研究会」を組織し、15世紀代前半の日朝関係の基礎史料の読み込みと検討を行った。 2.調査は、10月〜11月に中国遼寧省の東アジア交流史関係史跡・資料の調査を行い、高麗・元関係における駅路跡や高句麗山城の現地調査を実施した。さらに遼寧省博物館・遼陽市博物館等の東アジア交流史関係資料の調査を行った。 3.16年度から、朝鮮の文集から東アジア交流史や中世の日本に関する史料の抽出作業を謝金で行っている。今年度は、韓国で刊行された『朝鮮文集叢刊』約300冊のうち、文禄・慶長の役(壬辰・丁酉倭乱)以前の文集から当該記事を抽出する作業を行った。その結果、全体の半分近くの抽出作業を完了した。 4.中世日朝関係史の基礎史料である申叔舟編『海東諸国紀』(1471年)に関しては、16年度に院生と共同で史料の読み込みを行ったが、今年度は、『海東諸国紀』に見える約200名の日本人通交者の日本国内史料からの個別的検討とその成果の公表を行った(『東アジアと日本:交流と変容』第3号)。その結果、従来の指摘以上に、実態と合わない偽使の存在が明らかとなった。15世紀代中期〜後半期の日朝関係は、朝鮮通交者が西日本一帯に分布しているのではなく、通交者の多くは対馬宗氏等が作り出した偽使であり、当時の日朝関係は主として対馬・壱岐・北部九州に限定されるものであったことを明らかにした。
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