研究課題/領域番号 |
16320090
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉村 豊雄 熊本大学, 文学部, 教授 (90182823)
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研究分担者 |
三澤 純 熊本大学, 文学部, 助教授 (80304385)
稲葉 継陽 熊本大学, 社会文化科学研究科, 助教授 (30332860)
山田 雅彦 熊本大学, 大学教育機能開発総合研究センター, 教授 (90202382)
松本 寿三郎 崇城大学, 工学部, 教授 (40094049)
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キーワード | 地域社会 / 地方行政 / 村 / 村政 / 民衆生活 / 社会 / 自治 / 公共事業 |
研究概要 |
本研究の主体をなす日本史班は、「永青文庫」細川家文書のなかで藩制の基幹文書をなしている「覚帳」「町在」の系統解析に全力をあげている。とくに「覚帳」は藩制初期から維新期にいたる長期系統的な藩制文書であり、合計371冊に及び、一冊に数百の事案を包含する帳簿群を悉皆的の系統解析することはできないので、時期と地域(郡)をしぼりこみ、時期的には18世紀中期(宝暦期)、19世紀初期(文化・文政期)、19世紀中後期(嘉永・安政期)を、地域的に本学で集積している惣庄屋・庄屋文書と対応して分析できる飽田・託摩両郡を中心解析を進めている。具体的には一件ごとに主要事項を記入するカードを作成している。特に作業の力点を「覚帳」と「町在」が時期的に対応する19世紀段階においている。16年度の作業を通じて特に注目したのは、村・手永(郡と村の中間行政区域)から藩当局に起案された文書の現物が「覚帳」「町在」の料紙を用いて作成され、一件書類として綴じ込まれている事実である。このことは、地方行政を構成する諸事案が、藩当局と地域社会との間でどのように起案され、許認可され、遂行されて記録保存されたのかを解明する基本的な観点となりうる。17年度には16年度の作業をふまえて藩行政と地域社会・民衆社会の行政能力との関係が典型的に究明できそうである。 中国史班は、近年、代表的な清代地方衙門文書の一つである「巴県档案」の収集・検討を進め、また同時期の日本・中国地方行政文書の比較検討も開始している。これに西ヨーロッパの作業を本格的に加え、「行政と社会」の国際比較史的研究を本格化させたい。
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