研究課題/領域番号 |
16320097
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森 紀子 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (50241154)
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研究分担者 |
大津留 厚 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10176943)
佐々木 衛 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60136398)
緒形 康 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (40194427)
奥村 弘 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60185551)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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キーワード | 青島 / コロニアル都市 / ドイツ植民地経営 / 青島屠獣場 / 広東商人 / 海港都市 |
研究概要 |
ドイツの「模範植民地」として形成された青島は、第一次大戦後は日本に占領され、中、独、日の重層的な帝国支配という複雑な政治環境に置かれた。ロシア、満州および朝鮮半島との往来交易、フィリピン駐留のアメリカ軍との交易など、その国際関係はきわめて多彩であった。本研究は1,コロニアル都市・青島は接触空間としてどのような機能を持っていたのか。2,青島において展開された政治、経済、文化の特質はどのようなものであったか。3,青島の存在は半島空間および内陸部にどのような影響を与えたか。という問題意識に基づき、具体的事例から中国近代史における青島の位相を考察した。 例えば、ドイツは駐留軍隊の衛生的な食糧確保のために東洋一の規模と設備を誇る食肉加工場を建設し、そこで生産された牛肉はロシア、日本、フィリピンの米軍にまで輸出された。しかしながら、牛を農耕の役牛として考える中国側とは摩擦が生じ、しばしばその輸出量を制限された。食文化の異質性がかかる摩擦を引き起こしたともいえる。また、山東の土産である落花生も国際商品となり、欧米や日本、中国南方に輸出されたが、その買い付けにカがあったのは伝統的な広東商人であった。広東商人は山東開港期から買弁として働き、青島市政にも参加したのであり、青島の形成にあたって広東商人の果たした役割の大きさが確認された。ドイツの軍事拠点としての青島経営は、流入する中国商人と中国人労働者の働きと下支えの上に成り立ったのであり、植民都市とは移民都市の実態を併せ持つものであった。青島は中国東北部への労働力移動の中継点ともなったのである。
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