| 研究分担者 |
鈴木 董 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50162962)
六鹿 茂夫 静岡県立大学, 大学院・国際関係学研究科, 教授 (10248817)
佐原 徹哉 明治大学, 政治経済学部, 准教授 (70254125)
石田 信一 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (80282284)
中島 崇文 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (90386798)
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| 研究概要 |
本年度の第一の活動として,平成19年5月にセルビアの現代史研究者であるM.リストヴィチ氏を招聘し,研究参加者及び一般の学生を対象としたワークショップを開催した。ワークショップではセルビアにおける歴史教科書の現況とバルカン地域の共通歴史副教材の受容状況に関して報告を仰ぎ,研究参加者との意見交換を行った。
11月には国内外の歴史研究者と歴史教師を招き,国際シンポジウム『地域史をどのように構想し,叙述し,教育するか一バルカンと東アジアの事例から』を開催した。シンポジウムの論点は(1)国民史の枠組みを越える歴史叙述の構想のされ方,(2)市民権など新たな視点に基づく歴史叙述の試みの紹介,(3)地域史的な歴史叙述を歴史教育にどのように適用するかという三点である。具体的には,前回(2005年)のシンポジウムに引き続きバルカン地域の共通歴史副教材に注目し,各国の教育現場における利用状況に関する報告を得た他,日本の歴史教育,中国と台湾の歴史教科書の記述などに関する報告を得た。これらに基づき,国民史の枠組みを越えた歴史認識の構築の可能性に関して,そしてバルカンと東アジア地域の歴史教科書の比較検討の必要性に関して議論が交わされ,今後も両地域の動向を注視する必要が参加者間で共有された。
また本年度は科研費研究最終年度であるため,研究成果の公表に向けた作業も進められた。その結果平成20年3月に二つの出版物を刊行した。シンポジウムの報告を基にした『バルカン史と歴史教育』(明石書店)と,研究参加者の論考を集約した研究成果報告集である。これらの論考においてもバルカン地城で先行している地域史の枠組みに依拠した歴史教科書の叙述が検討された。
以上の活動を通じて,国民史を越えた歴史叙述と歴史教育を志向するバルカン地域の模索から得た知見を,目本を含めた東アジア地域の歴史叙述に適用する可能性と問題点に関する共通認識を構築し,一般に向けて発信したことが本年度の研究の成果である
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