研究課題/領域番号 |
16320101
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
永原 陽子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (90172551)
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研究分担者 |
舩田クラーセン さやか 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (70376812)
鈴木 茂 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (10162950)
浜 忠雄 北海学園大学, 人文学部, 教授 (70091535)
平野 千果子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (00319419)
清水 正義 白鴎大学, 法学部, 教授 (20216104)
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キーワード | 植民地責任 / 脱植民地化 / 植民地支配 / 奴隷制 / 奴隷貿易 / 補償 / 戦争責任 |
研究概要 |
本課題第2年度である2005年度には、前年度に議論した「植民地責任」をめぐる理論的な問題点(「人道に対する罪」概念の射程、法的責任と倫理的・政治的責任の関係、戦争責任と植民地責任との関係等)を踏まえ、諸地域のケース研究を持ち寄り、具体的な文脈における「植民地責任」問題の表われ方を分析し、多面的な検討を行った。4回にわたる研究会では、オランダの奴隷制の記憶、ブラジルの奴隷制と人種、日本=韓国関係史の中での植民地責任、ドイツ=中国関係と脱植民地化、フランスとアルジェリア戦争等、日本の対アフリカ外交と脱植民地化、についての報告が行われた。 一方、フランス(平野千果子、尾立要子)、アメリカ(吉澤文寿)への現地調査により、関連資料の収集を行うとともに、「植民地責任」をめぐる最新の研究動向の把握に努めた。 これらをつうじて明らかになったことは、「植民地責任」概念は、戦争責任論の歴史的発展の中から導き出されるものであり、諸地域の具体的なケースにおいても、両者が不可分のものとして表われている点である。このことは、一面では、国際法的な概念としての「人道に対する罪」で定義しきれない植民地主義の問題を扱う理論的な困難をも示している。今後、これを敷衍する法的な可能性を探ることも重要であるが、本研究課題においては、むしろ歴史認識の脱植民地化という観点から、この隘路を打開する可能性を追求することが必要と思われる。最終年度には、その点についての研究を深め、本課題のまとめに結び付けたい。
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