研究課題
基盤研究(B)
人間社会が複雑化するのに伴って、物資や情報の管理システムが発達していく。素朴な社会では税や使役は存在しないかあってもごく小規模なものである。ところが社会が巨大化し恒常的な権力が生まれるにつれて、権力は徴税や使役を人々に課すようになる。そしてそのための様々な物資・情報管理システムを考案していく。本研究では海外共同研究者の協力を得て、西アジア先史時代遺跡から出土する物資管理に直接関連する遺物群、具体的には印章・印影・トークン・重りなどを集成しデータベースを作成するとともに、それらを比較研究して体系化し、物質管理の側面から社会が複雑化するプロセスを復元しようと試みるものである。そして同研究を通じて、農耕社会から都市社会へと至る西アジア先史時代社会の展開を見通すことを最終的な目的としている。平成16年度は、本研究を構成する基礎的研究事項を実施した。すなわち、西アジア先史時代で印章・印影・封泥・トークン・重りを出土している遺跡の探索・研究、および各遺跡出土遺物の実測・写真撮影・デジタル画像化である。実際に印章・印影・封泥・トークン・重りを収蔵している博物館・研究所等に赴き、印章については材質・サイズ・形態・印面の図像・出土コンテクスト、印影についてはサイズ・図像、封泥については材質・形状・出土コンテクストなどについて1点ごとに資料化を行った。特に印面・印影に関しては高感度のデジタルカメラを用いての資料化を図った。平成16年度中に同作業を実施したのは、欧米ではロンドン大英博物館、ロンドン大学考古学研究所、シカゴ大学オリエント研究所の収蔵資料、西アジアではシリア・ラッカ博物館及びイラン・テヘラン博物館の収蔵資料である。ラヅカ博物館及びロンドン大英博物館の収蔵資料の調査研究には、それぞれ本研究の海外共同研究者である、ピーター・アッカーマンズ博士、ドミニク・コロン博士の協力を得た。
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国立歴史民俗博物館研究報告 119集
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Studies in Early Near Eastern Production, Subsistence and Environment 8
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環境考古学ハンドブック
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