研究課題
本研究では、海外共同研究者の協力を得て、西アジア先史時代遺跡から出土する物資管理に直接関連する遺物群、具体的には印章・印影・トークン・おもりなどを集成しデータベースを作成するとともに、それらを比較して体系化し、物資管理の側面から社会が複雑化するプロセスを復元しようと試みるものである。そして同研究を通じて、農耕社会から都市社会へと至る西アジア先史時代社会の展開を見通すことを最終的な目的としている。本研究の実施事項は、西アジア先史時代に帰属する遺跡で印章・印影・封泥・トークン・おもりを出土している遺跡の探索・研究、および各遺跡から出土した遺物の実測・写真撮影・レプリカ製作・デジタル画像化であり、これらの遺物を所蔵している主要な博物館を回り、1点ごとに資料化を行っている。現在、研究計画の3年目が終了した。研究初年度にイギリス大英博物館、ロンドン大学、シリアラッカ博物館、アメリカシカゴ大学オリエント研究所博物館、2年度にシリアイドリブ博物館、ラタキア博物館などで行った資料調査の成果をデータベース化、遺物実測図の電子トレース作業を継続している。さらに、3年度の資料調査として、アメリカペンシルバニア大学考古学人類学博物館が所蔵しているイラクのガウラ遺跡出土の印章・印影、シリアダマスカス博物館の所蔵するラタキア地区のラス・シャムラ遺跡出土の印章の調査研究を実施した。これらの資料についても、現在データベース化を進めている。研究成果の一部については、2006年4月にスペインマドリッド自治大学で行われた国際シンポジウム、および5月に東京学芸大学で行われた日本考古学協会総会で発表しており、特に前者のシンポジウムでは、欧米の研究者と様々な情報交換を行うことができた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Abstracts, 5^<th> International Congress on the Archaeology of the Ancient Near East, Madlid
ページ: 69
日本考古学協会第72回総会研究発表要旨
ページ: 278-281