研究課題/領域番号 |
16320107
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
黒崎 直 富山大学, 人文学部, 教授 (60000494)
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研究分担者 |
高橋 浩二 富山大学, 人文学部, 助教授 (10322108)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 教授 (30134993)
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キーワード | 古墳時代 / 北陸 / 前方後円墳 / 前方後方墳 / 環日本海交流 |
研究概要 |
能登・越中地域という日本海中部沿岸域における古墳の出現過程を、「沿岸ルート」による古墳文化の波及と、沿岸交通・交易を掌握する地域首長の台頭という新たな研究視点から検証することを目的として、その鍵を握る富山県氷見市阿尾島田A1号墳(約70mの前方後円墳)の築造時期の解明を行うとともに、「北陸における古墳編年の再検討」としてシンポジウムを実施した。 A1号墳の築造時期の解明では、昨年度から引き続いて副葬品の編年的な検討をさらに行うとともに、陪塚的な位置にあるA2号墳の発掘を実施した結果、舟形ないし割竹形の木棺1基をもつ、長軸13m、短軸11mの前期の方墳ということを明らかにしたが、副葬品や供献土器等は検出されず、阿尾島田A1号墳の築造時期を明確に絞り込むには至らなかった。 「北陸における古墳編年の再検討」では、若狭から越後・佐渡までの前期から後期に至る古墳について、各地域における古墳編年の再検討と副葬品等の網羅的な比較検討を行い、学識経験者などから専門的知識の提供を受けるとともに、他地域における関連資料の調査・収集を通じて、多くの研究者から伝播経路や築造時期等についての貴重な教示を得た。 これらの結果、阿尾島田A1号墳は、前期中頃の築造である可能性がさらに高まり、これは北陸各地において前方後円(方)墳が大型化し始める画期と一致し、また富山湾岸部に隣接して築かれた大型前方後方墳の氷見市柳田布尾山古墳(107.5m)とも時期的にほぼ並行するという見通しが得られた。これらは、次年度の研究進展に大きな手がかりとなる成果である。
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