(1)日本・東アジア旧石器時代の居住様式と動物相の歴史変遷に関する研究 a.居住様式の変遷に関する研究:最近報告書が刊行された千葉県南三里塚宮原第1遺跡等を分析し、その研究成果を2つの論文に活用した。静岡県愛鷹山麓で新たに発見された旧石器時代落し穴遺構の現地踏査と分析を行い、その成果の一部をシンポジウムで発表した。沖縄におけるチャート製石器の性格について検討した。韓国の全羅南道新北遺跡を踏査し、地層や発掘状況を検証するとともに、磨製石斧を含むその出土遺物を日本の事例と比較検討した。韓国慶尚南道古禮里遺跡から出土した資料を延世大学において詳しく観察・記録し、日本との比較を行った。 b.動物相の変遷に関する研究:岡山県新見市足見NT洞窟において発掘調査を実施し、中期更新世中期の動物化石を多く発見するとともに、土壌水洗によってその整理作業を行った。今回購入したシカ・イノシシ化石標本により、発掘した化石の部位同定なども進めた。同洞窟における過去の調査成果を論文にまとめ、学会誌で発表した。長崎県壱岐市原の辻遺跡下層の後期更新世哺乳動物化石の現地調査を行うとともに、過去に調査した資料を報告にまとめ、投稿した。沖縄県今帰仁村赤木又における更新世前期哺乳動物化石産地の現地踏査を行った。 (2)フランス・ヨーロッパにおける居住様式と動物相に関する研究成果の整理 a.フランスの先史時代遺跡の現地踏査:年度末の3月後半にパリのMaison de l' Archeologie et de l' EthnoLogieにおいて関係文献を収集するとともに、ジュラ地域の遺跡踏査を行う予定。 b.海外研究者の招聘:スイスのシャンプレヴェイル遺跡を調査した研究者2人を招聘し、北海道の遺跡現地を踏査しつつ両地域の旧石器文化を比較検討した。
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