研究課題
基盤研究(B)
(1)日本旧石器時代における居住様式と動物相の歴史変遷に関する研究(a)岡山県足見NT洞窟を発掘し、その化石の産状と中期更新世中期に属する哺乳動物群要を学会誌で報告した。(b)長崎県壱岐原の辻遺跡下層幡鉾川層から産出した後期更新世の動物化石を報告した。(c)関東地方の環状ブロック群を石器石材と主要器種の構成から分析し、環状ブロック群が、大型獣狩猟のために一時的に集結した複数集団によってではなく、遊動過程で常時生活をともにしていた単一集団によって形成されたと推定した。(2)フランス旧石器時代における居住様式と動物相の歴史変遷に関する研究(a)F.オドウーズは、フランス・ヴェルブリ遺跡とスイス・シャンプレヴェイル遺跡を狩猟・居住季節等の観点から比較し、パリ盆地のマドレーヌ人はフォーレジャー型の居住・移動様式をもつと考察した。(b)D.レーシュは、マドレーヌ人の閉鎖式炉が細い枝の薪しか入手できない寒冷気候に適応した炉の型式であることを明らかにし、M.Iカタンは、石器石材がヌシャテル地域へ運ばれる4つのモデルについて議論をおこなった。(3)先史時代における居住様式と動物相の日仏比較研究(a)縄文文化では定住化が進んだが、ヨーロッパでは旧石器時代から中石器時代へ移行するにつれてむしろ集団はより規模が小さく、遊動的になった。(b)シャンプレヴェイルの場合と異なり、日向林B遺跡はフォーレジャー型集団によってのこされた。(c)ヨーロッパの狩猟遺跡を参考にすれば、日本の旧石器時代落し穴遺構は、追い込み猟ではなく、待機猟に使われた。(d)ヨーロッパの旧石器時代石器群は単一構造をもち、日本の場合は並列構造をあらわす。日本ではぐ主要器種に関係する複数の生業が別々の場所でおこなわれ、集落が特定生業にかかわる機能的な場として編成される傾向が弱かったらしい。
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