研究課題/領域番号 |
16320110
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小畑 弘己 熊本大学, 文学部, 准教授 (80274679)
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研究分担者 |
甲元 真之 熊本大学, 文学部, 教授 (70072717)
山田 悟郎 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸部長 (00113473)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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キーワード | 初期農耕 / フローテーション法 / レプリカ法 / 雑穀 / 極東アジア / ダイズ / オオムギ |
研究概要 |
研究課題1古墳時代以降の穀物構成の変遷;博多遺跡群を中心とした古代・中世資料の収集に努めた結果、8紀以降の雑穀・ムギ類の増加傾向を確認できた。その要因については、古代における地球温暖化による気候変動と作物の不振による農民の自主的な作物転換やそれに続く朝廷による救荒作物の奨励政策によるものと推定される。ムギ類や雑穀が一定量を占めるという古代の穀物構成の傾向が中世期まで継続することも明らかになった。また、古代作物の新たな流入に関しては、皮性オオムギが古代に渤海との交流によって流入してきた可能性を指摘できた。 研究課題2東アジアレベルでの穀物の流入・展開;縄文時代における栽培植物の集成と検討と行い、その渡来ルートと推定される朝鮮半島やロシア沿海州地方の栽培植物との比較から、栽培植物の起源と渡来時期に一定の見通しを得ることができた。今回の研究によって九州縄文時代後期における朝鮮半島経由のイネを中心とした穀物の渡来はほぼ確実となってきた。今後はこの穀物構成の時期別の変遷過程と穀物渡来の時期がどこまで遡るのかが課題となる。今回レプリカ法によって発見した縄文時代のダイズ「クマダイ」は、これまでわが国で発見されていた炭化ダイズより1000年ほど遡るもので、本研究による大きな成果の一つである。また、ここで用いたマメ科種子の同定法に関する基礎的研究は、今後の種子同定上の基礎となるもので、この同定基準によって山梨県において縄中期のダイズが確認され、マメ類の栽培に関する新たな問題が提起されるという結果へ結びついた。これらの発見により、縄文時代中期にはすでにダイズやアズキの栽培が行われていた可能性があり、ダイズが東北アジアの各地で多元的に栽培された可能性もでてきた。
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