研究概要 |
本研究は,現代中国において改革開放政策導入以後,急速に展開されている住宅改革の実態と都市地域構造の変化における意味を明らかにすることを目的とする。 本年度は,9月に土居・山崎・香川・木本が北京市・上海市において現地調査を行った。なお,現地調査は,研究協力者である華東師範大学・谷人旭教授,北京大学・柴彦威副教授の協力を得て実施した。現地調査では,住宅の市場化の類型化を行うとともに,各類型の住宅を見学し,内部構造や開発の経緯などを調べた。また,市政府において住宅政策の変化や住宅開発に関する資料を入手し,さらに住宅開発行う不動産企業の実態を把握するために,民間不動産研究所において聞き取り調査を行った。なお,木本は9月に大連市,2月に上海市の現地調査を行い,住宅建設に関する施行業者や労働者の実態を調査した。 以上の現地調査や国内において収集した文献・統計資料などの分析を行い,土居・木本・柴(北京大)は地理科学学会例会(10月31日,広島大学)において研究発表を行った。土居は住宅の市場化の類型とその全国的な地域的特徴を,木本は現代中国の住宅改革と住宅産業の特徴を,柴は市民の住宅選択の基礎となる日常生活の特徴について報告を行った また,12月11〜12日には谷(華東師範大)を招いて,大分大学において検討会を行った(地理科学学会アジアの都市研究グループの例会を兼ねる)。ここでは,谷が市場経済化の進展と共に変化する上海市の住宅地域の特質を,山崎が改革開放後の北京市の住宅整備の地域的特質を,香川が上海市の商品住宅に関するデータ整備の状況と考察の結果を報告し,本科研の次年度の展開などについて検討を行った。
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