研究課題
基盤研究(B)
本研究期間、日本植民地時代(1914-1945)の文化的影響がある民俗芸能(行進踊りや日本語混じりの歌)のフィールドワークおよび資料収集をミクロネシア各地および小笠原、沖縄で行った。そして、踊りの身体表現や音楽的側面、社会的脈絡に焦点をあてて、ローカル化など変化について分析と比較を行った。ベラウ(パテオ)の民俗芸能については、日本の影響を受けた新しい芸能・マトマトンが今日の文化的脈絡においていかに表象されているかを参与観察した。2004年第9回太平洋芸術祭の直後に、国際伝統音楽学会・オセアニア音楽研究部会を開き、民族音楽学者、パラオの踊り専門家、小笠原の踊り手たちと議論した。ポーンペイについては、オークランド大学大学院博士課程・長岡拓也氏の協力を得て資料収集を行うとともに、行進踊りの起源に関するインタビューを行った。これら一連の調査の結果、東カロリン諸島では西カロリン諸島に先行して行進踊りが伝承されていたこと、ポーンペイの踊り歌のいくつかはマーシャル語の歌詞からなることなどを突きとめた。以上から、西洋音楽やフォークダンス等の様式を取り入れてマーシャル諸島で成立した行進踊りの祖形が東カロリン諸島に伝播し、主としてナウル、アンガウルでの中央カロリン諸島出身者を含む燐鉱石採掘作業員等を通じて西カロリン諸島へと広まったこと、その過程で軍事訓練の要素や日本の音楽的要素等が組み入れられたこと、こうした伝播の経緯がそれぞれのローカル化に影響を及ぼしたとの結論が得られた。また、沖縄では1940年代の行進踊りの様式が伺える号令が記憶されている一方で、継承者の交代が激しい小笠原では「日本化」が急速に進んだことを示す変化が見られることを明らかにした。
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