研究課題/領域番号 |
16320119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
吉成 直樹 法政大学, 沖縄文化研究所, 教授 (80158485)
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研究分担者 |
永瀬 克己 法政大学, デザイン工学部, 教授 (30061237)
藤井 貞和 立正大学, 文学部, 教授 (40134754)
橋尾 直和 高知女子大学, 札幌・教育学部, 准教授 (00244400)
谷本 晃久 北海道教育大学, 札幌・教育学部, 准教授 (20306525)
島村 幸一 立正大学, 文学部, 准教授 (70449312)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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キーワード | 琉球・沖縄 / アイヌ / アイデンティティ / 言語と言語表現 / 文字の無い社会の「歴史」 / アイヌロ承文学 / 『おもろさうし』 / 沖縄研究の転換 / turning point of Okinawa study |
研究概要 |
本研究は、「日本」の両端に配置されているアイヌと沖縄のふたつの社会が、いかにヤマト社会と対峙しながら、そのアイデンティティを形成、維持してきたかという点に最終的な目的がある。 ある社会のアイデンティティの核心にあるのは、言語および言語表現である。その素材として、アイヌ口承文学、琉球(首里)王府が16世紀〜17世紀に編纂した古歌謡集『おもろさうし』を主に扱った。特に、それらのテキストから、文字の無かった時代の「歴史」の復元を行う作業に労力を注いだ。たとえば、アイヌ口承文学から復元される「歴史」とは何か、『おもろさうし』から復元できる「歴史」とは何か、という問いである。 「歴史」の復元の方法として、言語表現ばかりではなく、絵画や図像から「歴史」の復元を試みた。絵画、図像は、どのような社会や文化(精神世界を含めて)であったかを知るうえで重要な手がかりになるばかりではなく、文字の無かった社会の歴史復元においてはきわめて有効である。 また、民俗、言語の立場から、アイヌ、沖縄の双方の社会を視野に入れた成果を得た。これは、現在のアイヌと沖縄の文化、言語を比較しようとするものでなく、それぞれの文化のさらに基層にある民俗、言語を明らかにしようとするものである。 本研究を展開していく過程で、琉球社会・文化の形成に関する、大きな研究の転換期を迎えた。奄美諸島社会の古代〜中世並行期にかけての考古学的状況が明らかになるにつれ、琉球社会が従来、考えられていたような内的な発展のみで形成したとは考えられなくなったことである。この問題は、言語にかかわる分野のみならず、さまざまな分野の見直しを迫る可能性があり、また本研究の課題にも深くかかわっていたため、最終年度には、その調査・研究も手がけた。
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