研究課題/領域番号 |
16330001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田口 正樹 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20206931)
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研究分担者 |
石川 武 北海道大学, 名誉教授 (20000648)
山田 欣吾 一橋大学, 名誉教授 (70017523)
石部 雅亮 大阪国際大学, 法政経学部, 教授 (90046970)
村上 淳一 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (80009795)
石井 紫郎 東京大学, 名誉教授 (00009797)
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キーワード | ドイツ / 統合 / ローマ帝国 / 日記 / ラントフリーデ / 民事訴訟 / 中世 / システム |
研究概要 |
今年度は第二年度であり、前年度に行われた研究状況の整理と一般的・理論的な問題の検討を踏まえて、個別テーマの掘り下げが図られた。研究会で検討されたいくつかのテーマをあげれば、例えば西洋中世に関しては、中世中期以後「ドイツ人」意識が登揚した後も、彼らの国が引き続き「ローマ帝国」として理解され続けたことについて、その法的・理念的背景が探究され、帝国が一方で法的に把握されながらも、他方で救済史的歴史神学や最終帝国信仰との密接な関係を保った点に注意が向けられた。また、近代におけるシステムの分化と統合との関係を論じて、統合を構造連結されたシステムとシステムの自由度の相互的制約として定義し直すニクラス・ルーマンの議論の分析を手がかりに、西洋前近代・近現代における統合の意味変化について、考察が深められた。日本中世については、15世紀政治史の重要人物であった満済の日記を史料論的に考察しつつ、それを踏まえて彼の活動における裁判過程と政治的決定過程の関係が探究された。また、今年度はメンバーの何人かがドイツ・イタリアへ渡航し、現地の学会などで外国人研究者との意見交換を行ったほか、来日したカーリン・ネールゼン=フォン・シュトリューク教授(フライブルク大学)を迎えて、中世中期ドイツのラントフリーデについてその手続法的側面を議論し、フェーデ抑制という目標がどのように具体的な手続として表現されていたかという点の認識を深めた。その他同教授とは、中世イタリアの海上保険、中世後期ドイツ民事訴訟の類型論などについても、意見を交わした。特に民事訴訟について、学識法訴訟と伝統的訴訟の間で手続形式のさまざまな相違が見られるにもかかわらず、背後の訴訟イメージは共通するところがあったのではないか、という指摘がなされたことは、重要であったと思われる。
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