研究課題
今年度は最終年度であり、研究成果の集約と総括につとめた。各研究班ごとに研究のまとめを試みるとともに、全体の合宿研究会で報告と議論を行って、総合をはかった。その過程で、何人かのメンバーがドイツとイタリアに赴き、研究成果について外国人研究者の評価を受け、意見を交換した。全体研究会でとくに議論を深めた問題を具体的にいくつかあげれば、まず西洋古代に関しては、古代末期の皇帝勅法における贈与の扱いについて、家秩序、政治秩序、経済秩序の観点からそれぞれ詳しい検討がなされ、皇帝政府が多面的な考慮を勅法の中に取り入れつつ、古代末期の変動の中で帝国の統合を維持しようとしていたことが浮き彫りにされた。西洋中世に関しては、中世中期ドイツの国王裁判について、中世初期のそれとの比較や、狭義の裁判以外の仲裁や和解による紛争解決との比較を伴った検討がなされ、中世中期における国王裁判の意義の増大、国王と諸侯による共同決定という側面、学識法や都市市民の登場による紛争解決様式の変化、などが指摘された。こうした国王裁判に見られる変化と中世中期の法書史料に見られる国制像や国王とのレーン関係の扱いとの関係についても議論がなされた。近世に関しては、何人かの近世法学者たちが採用したインスティトゥティオーネース(法学入門)体系が比較対照されて、法素材がそのような形式で整理されたことの意味が考察され、身分制との関係や日本民法典編纂時との比較なども議論された。西洋近代に関しては、19世紀初頭のプロイセンにおける法曹養成が、特にそこでの理論教育と実務教育の関係に注意しつつ検討された。直前に成立した大法典であるプロイセン一般ラント法の扱いや大学において新興の歴史法学派が占めた位置について、考察と議論がなされた。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (23件) 図書 (2件)
国語と国文学 84巻1号
ページ: 72-77
法学論叢 160巻3・4号(発表予定)
統合テクスト学の地平 : 21世紀COE「統合テクスト科学の構築」最終報告書(佐藤彰一・松澤和宏ほか)(名古屋大学文学研究科) (発表予定)
ページ: 1-44
Proceedings of 21st Century COE Program International Conference, "Histoire, Fiction, Representation"
ページ: 1-10
Proceedings of 21st Century COE Program, International Conference, "Genesis of Historical Text and Map : Text/Context <2>"
ページ: 1-7
法制史研究 56号(発表予定)
法科大学院要件事実教育研究所報 5号(発表予定)
民事判決原本データベース作成10年の歩み(民事判決原本データベース作成協議会【編】)(民事判決原本データベース作成協議会)
ページ: 1-16
北大法学論集 57巻2号
ページ: 189-208
法の生成と民法の体系 : 広中俊雄先生傘寿記念論集(林信夫・佐藤岩夫【編】)(創文社)
ページ: 115-158
市民法学の歴史的思想的展開(河内宏ほか【編】)(信山社)
ページ: 154-201
グローバル化と法(村上淳一・H.P.マルチュケ【編】)(信山社)
ページ: 25-32
文学 7巻3号
ページ: 49-64
新体系日本史<1>国家史(宮地正人ほか【編】)(山川出版社)
ページ: 184-220
日本歴史 700号
ページ: 58-67
王権を考える(大津透【編】)(山川出版社)
ページ: 153-158
法学雑誌 52巻4号
ページ: 28-62
ページ: 63-88
小山貞夫先生古稀記念論集 西洋法制史学の現在(小山貞夫先生古稀記念論集刊行会【編】)(創文社)
ページ: 3-86
創文 483号
ページ: 36-40
創文 486号
ページ: 24-26
University of Tokyo Journal of Law and Politics Vol.3
ページ: 1-26