研究概要 |
(1)2006年8月に公刊された『市民法学の歴史的思想的展開』に「啓蒙期自然法学から歴史法学へ」と題してこれまでにおこった研究成果を発表した。これは18世紀後半から普及した『法学エンチュクロペディー』を手がかりに、混乱した法素材を、大学の法学の科目としていかにその領域を確定し相互に関連付け、法学の体系を構築したか、を明らかにしょうとしたものである。ゲッティンゲンのピュッター,ライテマイアー,フーゴーを中心としたが、これらの法理論は、19世紀歴史法学を生み出す準備作業であったが、両者の基本的相違をも確認した。 (2)8月にはまたベルリンのGeheimes Staatsarchivの官庁文書の解読に従事した。それは文部省、司法省、大学、教授と学生の相互の関係を通じて大学の法学教育がどのように変化するかを示したもので、普通法とプロイセンー般ラント法との関係を明らかにする。2007年4月日本法制史学会において報告する予定となっている。 (3)チューリヒ大学民事訴訟法の教授に論文執筆を依頼して,その成稿を翻訳して寄稿した。「ドイツ法圏における司法試験』として2007年3月に刊行された。これはドイツ、オーストリアおよびスイスにおける司法試験制度とその実情、法学教育の方法、とくに事例研究法についての興味ある比較考察である。
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