研究分担者 |
五十嵐 正博 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70168102)
酒井 啓亘 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (80252807)
柴田 明穂 岡山大学, 法学部, 助教授 (00273954)
濱本 正太郎 神戸大学, 法学研究科, 助教授 (50324900)
林 美香 神戸大学, 国際協力研究科, 助教授 (60362810)
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研究概要 |
本研究は条約法を現代的な文脈に位置づけて再検討することを目的として開始された。伝統的な国際法の基礎理論の一つである条約法では、条約の拘束力の根拠は、主権国家の同意であり国家意思である(意思主義)。しかし国際社会の一般利益や条約内の共通利益の保護・実現をめざす多国間条約においてこの前提が妥当し続けるか、疑問がある。現代の多国間条約では、双方が個別利益の確保をめざす二国間条約と異なり、改正、留保、解釈、第三国との関係等の様々な局面において、条約法が前提としてきた意思主義を確認しにくい法的現象がみられる。本研究にいう条約法の現代的な再検討とは、意思主義を理論的な根拠として成立している条約法が、上述の現代的な法的現象をどのように包容しているか明らかにする作業である。 本年度の具体的な作業として,(i)研究全体においてミクロ的な視点を提供する具体例の分析を開始した。具体的には,多国間条約において、義務に対する締約国の同意の内実が問題となる事例の分析を試みた。個別の条約体制において締約国の義務に対する同意の内実の問題が顕著となるのは条約の運用においてであるから、この分析においては実行を中心とする検討を行った。今年度の作業対象となったのは,環境(バーゼル条約)、軍縮(化学兵器禁止条約)、平和維持活動(国連)等の多国間条約である(詳細は11.「研究発表」に記載)。また、(ii)研究全体においてマクロ的な枠組みを提供する理論的な考察も進めた。具体的には,(i)の各成果をふまえつつ、国際機構法及び条約法の観点から問題点の体系的な整理・分析を開始した(詳細は11.「研究発表」に記載)。
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