研究課題/領域番号 |
16330015
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
岡田 悦典 南山大学, 法学部, 助教授 (60301074)
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研究分担者 |
仲 真紀子 北海道大学, 大学院・文学研究科人間システム科学専攻・心理システム科学講座, 教授 (00172255)
藤田 政博 政策研究大学院大学, 助教授 (60377140)
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キーワード | 裁判員 / 陪審 / 参審 / 刑事訴訟法 / 認知心理学 / 社会心理学 / 刑事裁判 / 法心理学 |
研究概要 |
本年度は、裁判員制度に関する実証的な研究の準備段階として、実証的研究のための模擬裁判を作成して、これを研究用のビデオとして撮影し、このビデオをもとに、8月、12月に具体的な予備調査と意見聴取を行った。模擬裁判においては、有罪・無罪を判断するための裁判を想定して作成し、これに対して、具体的に裁判における法律家の弁論、尋問がどの程度理解できたのか、また、説示の理解についてはどうかを調査し、裁判員制度に関する意識、市民の権威的特性などを調査するためのアンケートも実施し、具体的な判決を各自行ってもらった。このデータ分析については、現在整理中であるが、9月の龍谷大学における研究会で、報告を行った。 11月から12月にかけては、裁判員制度に関する意識調査を、東京、名古屋、福島の3地域を対象に、1500人に郵送にて回答を求め、約2割の回収を果たした。この意識調査では、裁判員になるに当たっての参加意欲や障害、また裁判員になることへの積極的な要因を調査するとともに、一般の市民の法律知識に関する認識や、権威的な特性があるかどうか、今後、裁判員制度を実施するために必要な要望・意見などを調査する項目を設定した。この調査結果についても、現在、その分析を進めている。 以上のような実験、調査とともに、文献調査を進めた。具体的には、評議に関する研究のための社会心理学の文献を収集、整理するとともに、陪審・参審研究のレビュー文献と、特に陪審と裁判官の判断の違いについての研究を集めるとともに、参審制に関する実証研究および心理学実験の研究を収集、整理した。 共同研究者3名は、以上のような調査研究を進めると同時に、いくつかの学会において、ワークショップやシンポジウムを開催し、今後の研究プロジェクトのために必要な議論・意見などを収集した。第一に、9月14日に、仲真紀子がオーガナイザーとして「法と心理学ワークショップ:裁判員制度に対する心理学的アプローチ」を開催し、共同研究者である岡田悦典が、裁判員制度に関する実証的研究の可能性について、藤田政博が、裁判員型(参審型)の評議に関する研究結果について、報告した。第二に、法と心理学会においては、10月17日に藤田政博が「裁判員制度:制度の成立過程と法学的・心理学的検討課題」を企画して、裁判員制度にまつわる今後の課題などを討論した。また10月16日の法と心理学会のワークショップにおいて、岡田悦典が「リーガル・カウンセリングの試み:よりよい法律相談のための『法と心理学』からのアプローチ」を企画・報告し、裁判員制度とは若干異なるが、市民と法律家が交錯する法律相談の場面の問題についての議論を行い、情報を収集した。
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