研究課題
基盤研究(B)
裁判員制度に関する実証的な研究を目的として、市民調査及びそれに基づいた実験研究を行ってきた。一般市民の意識調査は、裁判員の刑事司法への参加にはどのような障害があるのかを調べるためである。一般市民は裁判員制度の参加についての消極的側面は、本調査でもさらに裏付けられた。しかしそこでの最も大きな障害は、一般市民の法律専門性に対する不安であり、あまり司法制度、法律知識について知らないことへの不安が最も大きな要因であった。その観点から、説示、冒頭陳述、ノートテイキングなどの公判における裁判員支援の在り方について実験研究を行うとともに、公判前整理手続に絡む裁判官と裁判員の情報格差が評議にどのような影響を裁判員に与えるのか、与えるとしたら、より裁判員制度が十分に機能するにはどのような方策が必要かという観点からの実験研究を行った。またこのような情報を提供することは、アメリカ合衆国の陪審改革でも行われている試みであり、その動向を調査して、論文に公表した。説示の工夫やノートテイキングなどの試みは、実験研究では必ずしも十分な効果的手段としては明らかにされていないが、なお分析を試みて、その有用性について検証しつつある。一方、情報格差がどのような影響を与えるのかについては、現在、実験データを検証中である。これらの研究とともに、このような法知識の情報摂取と心理学的知識の情報摂取についての比較、及び権威主義的傾向が裁判員制度への一般市民の参加意欲に与える影響について、合わせて郵送調査で検証した。権威主義的傾向は参加意欲にとってあまりプラスの影響を与えていないこと、事実認定に必要とされる心理学的知識については、法律知識ほど参加意欲には負の影響を与えていないことが明らかにされた。
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