研究概要 |
本年度も第一に多種多様な史料を蒐集した。これらの史料の中でもとりわけ重要なものを史料集として出版する予定であるが、学生アルバイトを使って、史料の整理やタイピングなどの作業も継続的に行ってきた。第二に個々の研究プロジェクトにも精魂を傾けてきた。本年度、アスキューは、『生きている兵隊』を中心にする石川達三論を英語にて公にして、また英・中・邦語文献における南京論の諸相を日本語にて公にした。北村は、南京百人斬り論争に関するなど論考を公にした。金丸は、図書の略奪や電力産業の分析から、南京事件をいわば周辺的出来事から検討し、公にしている。 同時に、幾つかの出版プロジェクトに精魂を傾けてきた。 一つは、近刊予定の共編著であるBuried Bodies, Cultural Treasure and Government Propaganda : Historical Footprints in Nanjing,1937-38,Oxford and New York : Berghahn Books (forthcoming)の編集である。本書では、アスキュー、北村、金丸がそれぞれ編者・分担者として執筆に携わる参加する。本書では、アスキューは英語・中国語・邦語における南京事件の研究史を追究しそれぞれの諸相・特徴・異同を明らかにし、同時に、埋葬記録を分析して、南京にてどのような組織が埋葬活動に携わっていたかを明らかにする。金丸は、図書の略奪に関する研究を検討して、図書略奪の研究史を打ち出す。北村は、ティンパリーの言説に焦点を絞って、「南京」報道とプロパガンダを分析している。 また一つは、やはり近刊予定の共編著であるReporting an Atrocity : H.J.Timperley and the Nanking Saftey Zone Committee,1937-38,Oxford and New York : Berghahn Books (forthcoming)やDocumenting a Massacre : Smythe and Bates in and Around Nanjing,1937-38,Oxford and New York : Berghahn Books (forthcoming)の編集作業である。これらの著作は、当時の南京安全区の運営などに携わっていた欧米人の調査や南京に関する言説を蒐集・整理して史料集として出版する計画の一環として出す。これらの編著は第三者による査読審査の後、今後一年間で出る予定となっている。英語による南京研究に資することに相違ないと確信している。
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