・GTAPデータベース、IEAのエネルギーデータベースと二酸化炭素排出データベースのマッチングを行い、国際的多地域多部門の社会会計均衡データセットを作成した。 ・国際的多地域多部門社会会計均衡データセット用い、GAMS/MPSGEとよばれる応用一般均衡モデルで広く使われるプラットホームの上で、Forward Looking型動学モデルとRecursive Dynamic型動学モデルの二つの異なるタイプの動学的応用一般均衡モデルを開発し、目的に応じて選択可能なシステムとして構築した。 ・モデルの動学化においては、長期的な動学的均衡条件を考慮したデータの再構成が必要となるが、それを自動的に行うシステムの開発に成功した。また、二つの異なる動学モデルを用いて、貿易・投資の自申化、地球環境問題を分析評価することで、目的に応じたモデル選択の重要性を明らかにすることができた。特に、Forward Looking型動学モデルを用いることで、将来に予想される環境変化が、予想される時点で行動に影響することが可能となった。 ・貿易・投資の自由化の分析では、ドーハラウンドが世界経済に与える影響、輸入障壁の撤廃の貿易促進効果について評価し、貿易・投資の自由化による国別・産業別の影響を明らかにしつつ、世界経済の厚生を高めることができることを示した。 ・地球環境問題の分析では、2008年〜2012年の京都議定書の第一約束期間が2000年代初頭の世界経済に与える影響、排出権価格の動向などが明らかにされた。さらに、2013年以降のポスト京都議定書の枠組みについてもシナリオ分析を行うことで政策評価を行った。さらに、世代重複モデルを組み込むことで、有限期間しか生きないことが負担の先送りを生じさせることを示し、地球環境問題への取り組みの遅れのメカニズムの一員であることを示した。
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