研究概要 |
本年度は、ネットワーク外部性とスイッチングコストを分けて測定するための調査方法の設計と実施に集中した。したがって主たる研究成果は来年度に発表される予定である。 本年度前半は、離散的選択モデルで外部性を推定した文献のサーベイを行った。その過程で得た知見は以下にあげた論文に反映されている。(1)は個票を使ったネットワーク外部性の測定であるが、まだスイッチングコストは考慮していない。(2)はブロードバンド・サービスでのスイッチングコストとネットワーク外部性を実験的に推定した。(3)は理論的サーベイであり、理論的背景を考察している。 (1)Tanaka, Tatsuo and Reiko Murakami, 2004, "Network Externalities in the Japanese Market for of Routers,"、IIOC in April 23-24, 2004, (2)田中辰雄・矢崎敬人・村上礼子(2004)「ブロードバンド・サービスの競争実態に関する調査」『公正取引』10月号 (3)Yasaki, Yoshihito (2005), "Interconnection Decisions in the Presence of Network Externalities, " under submission. 本年度後半は、これらの予備調査をもとに、今回の調査の日玉である調査票の設計を行った。調査対象としたのは、ワープロソフト、表計算ソフト、ブラウザ、動画プレイヤー、ネット証券である。それぞれユーザの過去の利用履歴を聞いて、離散選択モデルで推定するために調査票を何度も設計しなおした。実際の調査実施は1月であり、今回の調査費用はほとんどこの調査に費やした 調査自体は快調に実施され、分析は現在進行中である。平成17年度には日本経済学会などで報告をする予定である。
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