住環境評価分析用のデータベースの構築作業を行った。対象地域として、首都蘭の住宅市街地を、地区特性に変化を持たせるよう配慮しながら選択した。次年度以降の分析に用いていく予定である。 また、東京圏において販売されている戸建住宅の敷地条件、建物・室配置の分析をした。その結果、(1)敷地の大きさは室配置の余裕と、間口/奥行比は玄関の位置やアプローチの距離と関係があること、(2)室配置は敷地の方角によって特徴づけられており、特に北と南と角地において顕著であること、(3)敷地面積規模別のクラスタ分析により、敷地が小さい場合には、面積の制約によってプランの開放性や閉路の数および吹き抜けの数などで表される室配置の余裕、外構部分の広さ、風呂場と階段の配置、玄関の配置といった機能をあきらめているものと、極端に面積の小さいもの、という5つのタイプがあること、(4)敷地が大きい場合はデザインの独自性、外構のゆとり、北接道または南接道の敷地の典型的なプランで南面の部屋と庭を重視するという4つのタイプの住要求があることが明らかになった。これらは、今後の住宅供給のあり方を考えていく上で大きな示唆を与える。 その他、住宅市場の分析では、また、分譲住宅市場における買い手の探索費用、売り手の空家放置による機会費用などによって、市場が不完全なことによる、かなり大きな費用が発生していることを定量的に示した。また、住環境の社会認識に関する研究においては、新聞記事の分析により2割程度は居住環境と混用されていること、特に、快適性、保健性に関心が高いことなどが判明した。
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