住環境整備に重要な意味を持つ敷地形状を住宅地図のような不正確な画地境界線データと不動産に関する情報から、より確からしい敷地境界線を推定する手法を開発した。敷地形状を多角形で表現し、その端点が二次元確率分布に従う誤差を持つと仮定すると、誤差をなるべく小さくし、かつ、敷地形状を歪めないような補正のあり方を考えることができる。その手法を具体的な例も含めて検討し、適切なパラメータの値を求めることができた。 また、現在は必ずしも有効に利用されているとは言えない寺社境内について、都市緑地環境としての潜在的な貢献度を分析した。境内地は緑被率が高く、また、空間分布状況から、徒歩圏に寺社が存在する可能性が高く小規模ながら、身近な緑地空間として活用できる可能性が示された。 さらに、東京都西部の住居系用途地域に取引された更地物件を対象に、ミクロな住環境に関する詳細なデータを収集し、ヘドニック分析を行った。嫌悪施設、建物用途の混在、近隣建物の高さのばらつき、生け垣の設置、街区の人口密度、空地比率などの住環境要素が有意な外部性効果を持つことが判明した。 そして、不動産物件の特性に着目した住宅市場細分化方法について検討した。不動産物件の特性に着目した細分化方法は、従来用いられてきた地域分割による細分化方法よりも高い精度あるいは同等の精度の価格予測を可能にすることがわかった。また市場細分化を行うことで、細分化を行わない場合よりも誤差の分散が有意に小さくなるということも検証された。さらに、住宅専有面積、土地面積、最寄り駅までの所要時間、前面道路幅員、築年数による細分化方法が他の細分化方法に比べて重要であることがわかった。
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