研究課題/領域番号 |
16330049
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤田 渉 長崎大学, 経済学部, 教授 (30264196)
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研究分担者 |
福澤 勝彦 長崎大学, 経済学部, 教授 (00208935)
岡田 裕正 長崎大学, 経済学部, 教授 (40201983)
須齋 正幸 長崎大学, 経済学部, 教授 (40206454)
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キーワード | 環境政策 / 国際貿易 / フラグメンテーション |
研究概要 |
近年の東アジア域内の貿易急増の原因である可能性が高い生産工程の分断化(フラグメンテーション)の増大は、同時に環境負荷の国際的な分断化を伴い、従来の国際的な環境負荷抑制政策の議論を難しくしている。本研究は東アジア地域における貿易構造の変化による環境負荷交換の理論モデル化と実証分析を試み、同時に労働、企業会計、国際資本移動の側面からも分析を進めている。 平成18年度は、前年度までに進められた理論モデル研究および実証分析を引き続き行った。具体的には前年度にHummelsa et al.によって提起されたvertical specialization share (VS)概念を発展させ、国際産業連関表を用いて中間財貿易の状況を観測できることを示したが、18年度は最新のデータも加え、データを利用可能な至近時点までの分析を行った。特に従来の研究においては総和として提示されたVSを、国別、部門別のVS要素にまで詳細に見ても、多くの情報が得られることを示した。なお、この分析に当たっては、還元された要素の累積特性を分析し、対数累積値の変曲点を用いて異なる性格を有する各国の比較が可能なデータの範囲を示すことができた。 この結果、1990年、1995年、2000年の期間、アジアにおいては大きな政治・経済的変動があったにもかかわらず、電子・電気製品製造部門においては、ほぼ一貫してVSの伸張が計測された。また、それをVSの要因である、各国の産業構造、輸入中間財依存性、輸出全体に占める当該部門の中間財輸出シェアに分解してみたとき、2000年までには以下のような変化が生じている可能性があることを示すことができた。これは、各国の産業構造全体の国外当該部門への輸入誘発倍率は減少傾向にあること、および電子・電気製品製造部門内の細部の構造において国内分業よりも国際分業が進展している可能性があることである。
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