研究課題
基盤研究(B)
本研究の主題は、都市が経済的に衰退しているにもかかわらず、住宅の耐用年数が永いため、住民は転居しない、つまり、人口は減らない、という堅牢都市(Bricks and Mortar)モデルの実効性を検証し、あわせてその政策的含意を検討することにあった。我々の研究では、日本でも、経済活動が衰退しているのに、人口が減少しない都市が数多くみられ、堅牢都市モデルが日本でも成立していることが確認された。また、それに加えて、こうした衰退都市では、技術水準(教育水準でみた人的資源の質)も低下することが実証された。こうした知見の政策的含意は、都市振興策としての住宅改善策はむしろ資源の適正な配分を損なう恐れがあるというものである。しかし、同時に実施した自治体アンケートによれば、都市の振興策は、人口10万人以上の都市とそれ以下の都市の間には顕著な違いがみられた。人口10万人以上の都市では中心市街地の活性化は優先施策であるが、人口10万人以下の都市では、中心市街地の活性化策は、振興策としての優先度は低い。また、長野県須坂市におけるフィールド調査によれば、中心市街地は、商店の閉店→空き家、というプロセスを越えて、宅地化の傾向が見られる。また、超長期には地方都市では、経済活動の低下に伴い、人口の減少もみられ、堅牢都市モデルは短期的には妥当しても、長期的には結局、市場の原理が働いていることが伺われた。こうした成果の意味するところは、次のとおりである。短期的な視野での人口減少対策として大都市で実施される住環境改善策は資源配分の観点から望ましくないかもしれないが、長期的な視野に立って中小都市で実施される住環境改善施策は、都市の経済力維持の観点から一定の効果があるかもしれない。
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