本研究は日本におけるTVコンテンツの包括的な研究である。多様なTVジャンルにおいて、最も有力なテーマに焦点をあてそのエフェクトを検証する。研究方法においては:(1)メッセージ(コンテンツ)に対する内容分析テクニック;(2)メッセージ受信者とメッセージ・プロデューサーに対するインタヴューの2つを用いる。また、ジャンルを重要視するのは、人々の文化コンテンツを処理する能力が平等でないからである。故に、多様なジャンル;ニュース、スポーツ、食、トレンディドラマ、ワイドショー等と広告、を取り上げる事が大切である。この様なジャンルから鮮明に現れるテーマはナショナリズム、グローバリゼーションとアイデンティティーである。更に、示唆項目から各々のテーマが明示される。例えは、アイデンティティーにおいては、ジェンダー(性役割)、パフォーマンス、インディビジュアリズム(個人主義)、ジャパニズム等が挙げられる。結果、本研究はメディア学や社会学だけではなく、日本学論、文化論、及び文化人類学においても価値のある研究である。研究経過としては、プログラム(広告)の内容分析におけるデータはバイアスを最小限にし、帰納的結果を得るためシーズンの影響を考慮し三つの時期によって収集され、コード化されているが、平成18年に入り、国際的イベント(冬季オリンピック、ワールドベースボールなど)があり、その特殊なコンテキストとスポーツジャンルを考慮し、データ収集をした為、全ての作業が3週間滞ってしまった。メッセージ受容者とメッセージ・プロデューサーへのインタヴューは、インタヴューのプロトコルを作成するための試行錯誤(パイロット)に時間が掛かってしまった。その時点で大きな調整をし、コンセプトを都会と地方に修正し、メッセージ・プロデューサーは滞り無く進展している。また、メッセージ受容者はよりインデップス・インタヴューを中心に進行することにしたが、インタヴュアー相違を最小限にする事が容易ではなく手間取ってしまったことは否めない。しかしながら、プライマリーデータは確実に構築されていると同時に、プライマリーデータにおける学会発表にも大きな手応えを得た。学会は主に国際集会であったが、多彩な専門家による意見交換をすることにより、本研究の理論とそのアプローチやテクニック等に有益な結果をもたらした。
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