研究課題/領域番号 |
16330098
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
蘭 信三 京都大学, 留学センター, 助教授 (30159503)
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研究分担者 |
高野 和良 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (20275431)
山本 かほり 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (30295571)
倉石 一郎 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10345316)
大久保 明男 東京都立短期大学, 文化国際学科, 講師 (10341942)
城 達也 大阪経済大学, 人間科学部, 助教授 (70271608)
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キーワード | エスニック・マイノリティ / 社会参加 / 国民国家 / 社会統合 / 中国帰国者 / 帰還移民 / エスニック移民 / 脱植民地主義 |
研究概要 |
本研究課題の第一年度として、日本におけるエスニック・マイノリティの代表である中国帰国者についての研究を練り上げる一方で、その他の国々におけるエスニック・マイノリティの研究に着手した。 (1)中国帰国者に関する研究としては、残留婦人の記憶の語り関する研究を蘭らが進め、残留孤児の裁判闘争についての総合的な考察を行うためにシンポジウムを開催した。蘭の研究は、残留婦人の祖国をめぐる語りにおけるそれを規定する「語りの磁場」を指摘し、その変遷につれて語りが変化していく様を描き出した点で関心を引いている。(2)また、シンポジウムでは、各分野で活躍するパネリストを招いて、残留孤児の国家賠償訴訟の背景や論点について論じいただき、そこからこの訴訟の社会的な意味を問いただそうとした。このシンポジウムは大きな反響を得て、マスコミ各社の取材を受け広く報道されたのみでなく、幾つかの新聞社の残留孤児に関する特集連載に大きく影響を与えた。(3)エスニック・マイノリティの国際比較研究に関しては、フランスにおけるアルジェリア帰還者の事例を松浦が担当し、予備調査としてのフィールドワークで、アルジェリア帰還者の二世三世による様々な活動を見いだし、そのフランスにおける社会的な意味を考察する手がかりを得てきた。また、城は、ベルリンの壁崩壊後のドイツにおけるドイツ系のエスニック移民に対する西ドイツ社会の反応、東ドイツ社会での反応、そしてトルコ系移民の反応など、国民国家の統合におけるエスニック移民の存在の意味を考察する作業をはじめだしている。(4)エスニック・マイノリティの社会参画の促進と排除が同時に進行し、国民国家の社会統合もマイノリティの参加をえての統合の進化を促進する一方で政治的な立場の違いと際だたせ大きな争点と化している現状の分析への手がかりを掴みつつある。
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