研究概要 |
本研究は、コミック同人誌即売会「コミックマーケット」を文化社会学的に研究するものである。本年度は以下の三つの調査を実施した。 (1.)サークル参加者アンケート調査 コミックマーケットに参加するサークルの代表者に質問紙調査を行なった。質問紙の配布は即売会主催者の協力により、「コミックマーケット66参加申し込み書」に折り込んでもらい、回収も参加申込書送付封筒に同封してもらうことにより行なった。配布5万2千に対し37,620票の回収を得た。本年度はこの回収票のコーディング、データ入力、第一次分析まで行なった。参加申し込みサークル代表者の男女構成は、女性71.2%、男性27.2%、平均年齢は女性28.32歳、男性28.64歳、女性代表者のサークルではサークルのメンバー数1名のケースが70.8%であるのに対して、男性代表者のサークルではサークルメンバー数1名のケースは47.0%、などの結果が得られた。 (2)スタッフ参加者アンケート調査 コミックマーケットは「スタッフ参加者」と呼ばれるボランティアによって運営されている。「コミックマーケット66」スタッフ参加者に対して郵送法により質問紙調査を行なった。配布数2,331、回収数336票であった。本年度はこの回収票のコーディング、データ入力、第一次分析まで行なった。「コミックマーケットを文化運動として意識することがありますか」という質問に対して、「よく意識する」19.5%、「時々意識する」37.1%、といった回答が得られた。 (3)スタッフ参加者グループインタビュー調査 スタッフ参加者に対してグループインタビュー調査を実施した。6集団27人から延べ12時間の質疑応答記録テープが得られ、テープ起こしを行ない、質的データを収集した。「文化運動」という言葉の理解について、世代によって大きな差異があることが確認された。
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